デフレ

”リアル”な価値と、バーチャルなお金が乖離したから、いまの経済危機が起きている・・・といわれる。
その”リアル”って、ものづくりでは、たぶんない。
”本質的な幸せ”こそが、”リアル”。
”幸せ”と経済とを、合致させる。その視点で観れば、道はいくらでも見えてくる。



ものすごくおおざっぱなとらえかたなんだけれど・・・
”もの”と”幸せ”の乖離がはじけたのが、大恐慌と言えるんじゃなかろうか。”もの”をじゃんじゃん効率的に・大量につくれるようになり、じゃんじゃん売りつけて・・・売りつけきれなくなった。
”かね”と”幸せ”の乖離がはじけたのが、今回の金融危機。”かね”をじゃんじゃん回し、ふくらませ・・・支えきれなくなった。


”もの”が手元にあるのが、価値ではない。
”かね”がたくさんあるのが、価値ではない。
”リアル”な価値とは、なにか。


利便性、効率性、それもひとつの価値。ただし、それもまた、手段にすぎない。”本質的な価値”を沢山生み出すための。


本質的な価値。
たとえば、”ああ、我”と思わずつぶやいてしまうような、美しさ。
たとえば、幼子の無邪気な笑顔に微笑む他人。


今。TVで、”なぜ資本主義は自壊したのか”の著者、中谷巌さんがインタビューに答えている。

なにが幸せなのか という哲学的な問い無しに、社会改革の提言なんて出来ない。

改革は人間を幸せにしなければ意味が無い。人を孤立させるような改革には意味が無い。

うーん、そんな自明なことも判ってないひとたちが、構造改革を推進してしまったのか・・・・・
同じ職場に、正社員と、派遣社員とが居る中で、信頼関係や一体感やチームワークを創ることに、われわれがどんなに苦労してきたことか。
作り上げたチームが、いとも簡単にばらばらにされることに、どれだけ憤りを感じてきたことか。


小泉首相も、中谷さんも、1942年生まれ。
日本が、闘争と生存に必死だった時代。こころの豊かさを、見失っていた時代・・・。




さる友人。
今の悩みは、取引先から「デフレだから・・・」と、値下げを依頼されることだという。
値段を下げたって、売れない。そもそも、安さでは、カテゴリーキラーな量販チェーンに叶うわけが無い。
とどけるべき”幸せ”を提供できていないから、売れていないのだ。


ひとは、自分の失敗原因には、なかなか気づかない。
”あの店が成功してるのは、商品力があるからだ”・・・と、商品を分けてもらい。
それで売れなければ、”あの量販店より高いから”・・・と、値下げを狙う。
おそらく、友人が取引先に、ほんとうに供給すべきものは、
商品ではなく、店の演出・運営ノウハウなのだろうと、僕は想う。
いかに、お客さんの”幸せ”を生み出すか。そこが卓越しているからこそ、彼の直営店は成功している。



ひとびとの、ものへの関心は、どんどん薄らいでいくだろう。そうでなければ、地球がもたない。
購入とは、価値への投票。消費はすべて、投資に。
このものを、この食べ物を、この買い物を使って、自分が、どれだけ幸せを生み出すか。そういう観点で生活を組み立てれば、ぼくたちはもっともっと、豊かになれる。
ものが乏しくても、かねが乏しくても、豊かになれる。