なんのための人生か

もひとつ、新聞のコラムで。
日本が”ものづくり”にばかり注力し、サービス産業を育てなかったから、今の雇用危機を迎えているのでは・・・という指摘に、はっとした。


たとえば、医療、介護、デザイン。需要はあるのに、産業としてきちんと育成されていないから、
人手不足で労働条件は劣悪、提供されるサービスの質が低下している。


一方ものづくりは、骨身を削って残業して、より安く質の高いものを、大量に生産し、輸出する。
アメリカやヨーロッパのひとたちの生活を豊かにするために。


国内の市場は育たない。
ニーズは移り変わっているのに、産業構造を変えていないから。
歯を食いしばって働いて、欧米のひとたちの、ゆとりある暮らしに貢献し、自分たちは、狭い家・長時間労働・低い幸福感。
余暇時間をしっかり生み出さないから、自宅にものが溢れた今、お金の使い道が無い!
育つべきニーズが育たないから、国内市場の規模が小さいまんま。
かくして、外国市場への依存から、脱却できない・・・。



解決策は。

残業や休日出勤は、悪。当人の収入はちょっぴり増えるかもしれないけれど、自由時間は減る。企業の持ち出しは増える。社会の健全な発展を阻害する。

  • サービス産業の育成

まずは、医療、介護、教育からかな。そして、芸術や、創造性あるレジャーへと。



金融危機のとき、実体経済(リアル)とお金の乖離・・・ということが指摘されてた。
サルササルササルサ!最終日、お客さん同士で、その話題になって。
で、”リアル”というのは、”もの”ではなく、”幸せな体験”だろう という話になった。


かつて、”もの”を多く持つことが、”幸せ”のシンボルと誤解された時代があったろう。
貨幣が登場し、”してあげたこと”と”してもらうこと”の交換に、タイムラグを創れるようになって、いつしか、”お金”が”幸せ”のシンボルと誤解されがちになった。それが、たぶん今。
本当は、”幸せ”を、いかに多様に、たくさん、深く、ユニークに、創るか。ここが、経済活動の、社会の、人生の、根本。この世に生きてる意味って、たぶんきっと、ここにある。



現行の8時間労働制って、一日の時間を、1/3は労働に、1/3は休息に、1/3は奉仕・芸術・スポーツに 使ってこそ人間らしい生活だ・・・という理念から生まれている。
たしか、戦前にアメリカで提唱されはじめたんじゃなかったかなぁ・・・もう、1世紀に近い歴史を持つ。
でも、今の日本、仕事と休息だけで人生を埋めてるひと、多くないですか?
最近ようやく”ワークライフバランス”なんて声高に言われてるけれど。


真剣に工夫すれば、残業も休日出勤も、無くせる。
そうしてこそ、労働生産性は上がる。
恒常的に残業されるぐらいなら、人員を増やしたほうが、企業の人件費は減る。雇用も増える。
なのに・・・見かけの収入を増やしたくて、仲間に悪くて、文化に逆らえなくて、ずるずる残業する職場の、なんと多いことか。


「俺の若い頃は、36時間ぶっ続けで働いた」・・・管理職がそんな話を若手にするときは、
「俺は若い頃、黒人に”くろんぼうはこの椅子に座るな”ってどなりつけた」なんて話同様、
恥ずかしいこと・してはいけないこととして語らなければ、コンプライアンス上問題がある。


まさかあなたの職場に、自慢げにそんな話をする上司は、居ないですよねっ(^^;