NHKアーカイブス シルクロード 民族の十字路〜カシュガルからパミールへ〜

ドーム・尖塔・青いタイル。まさにアラビアンコースト。その手焼きタイルは、ルネッサンス期を再現したフォートレスにも通しる。
民族幼稚園の楽しげな様子。はにかみながら自己紹介する子供たち。・・・新シルクロードの小学生と比べたとき、環境の激変と、失われたものを感じさせられる。
バザールの様子も、にぎやかでありながら、牧歌的。・・・新シルクロードの悲惨さ・悲壮感と、随分違う。
誇り高く、楽しげに真剣に働く職人たち。再訪番組で、この楽器職人が、実はいろんな部族の楽器を合奏できるように音階を統一した人だったという話をしていたっけ。
パキスタン統治下のカシミールからのトラック隊。700kmを8日間かけて。ほんの11年前、道路が開通するまではらくだの隊商だった、そのムードが濃厚。歓迎会。服装は人民服と背広・ワークシャツと違っても、リズム感は同じ。シンドバッドに通じる雰囲気・・・。
パミール越えの道中は厳しく。
アーリア系のタジク族、巨大な古城。ギリシャペルシャ・インド・中国が出会う場所。それでも服は、人民服。国境での民兵訓練、アフガニスタン紛争の影響で銃声は立てられない。
タジク族の結婚式。あっ、数ヶ月前の再訪番組で、訪ね歩いてようやく見つけた人たちだ。実は長年抑えられていた民族の風習を、ひさしぶりに復活させ、撮影したとのことだったっけか。
パキスタン国境での短い別れ。そのまま進めばインドへ。でも限られた人しか進めない。
西に進めばアフガニスタンペルシャ・ローマ。でも紛争で国境は閉鎖。
今、パミール地震で大変なはず。隊商のひとびと、どうされているのだろう・・・。


新シルクロードより、25年前のひとびとのほうが幸せそうに見える。
ただそれは、民族の風習が再解放された喜びもあったのかもしれないなぁ。改めてみると、観客はみな人民服。


ゲスト鶴田真由さん 3年前、1ヶ月滞在。真摯で素敵な女性になられたなぁ。
都会に帰ってきて音の聞こえ方が違う。あちらは近くで音がしない。空気も薄く、澄んでいる。時の流れもゆっくり。大自然と自分が一体になったような。
歴史年表をさかのぼっているような旅。文物、風土、信仰心。対自然の信仰。大切なものなのに置いてきてしまっているような気がした。・・・とのこと。まったく同感。


(11/25追記)
25年前は、TVに映ってるひとびとにも「これは公のためだ」という意識があったのかもしれない。
そして僕が訪ねた19年前も、市場経済の導入が進み、個人の利益を追求できるようにはなっていたものの、僕たち外国人との交流には、「異文化コミュニケーション」みたいな、公意識はあったように感じる。特に蘭州以西では。
今、各々が自分の利益のために・・・という色が強くなりすぎ、やりがいを感じづらくなっているのかもしれないなぁ。


とはいえ18年前でも、あまりに大きな経済ギャップゆえに、西安では観光客が街角で襲われるなんて事件が起きていると、注意を喚起された。バスが止まる都度、物売りがわらわらと寄ってきたり。競争が激しいだけに、われさきにという場面もしばしば目撃した。
一方で、カシュガルの少年たちや、西安のホテルのひとびと、敦煌のバザールのシシカバブー売りの兄さん、印象深い出会いをした人々は、みな「公の為」というよりは、ひとりのひととして、損得を超えたつながりをもたらしてくれた。
「xxの為」を越えた部分にこそ、楽しみはあるのかもしれないなぁ。