福島復興論 対談 農業への風評被害 どう克服

毎日新聞 2013年06月06日 東京朝刊
福島大准教授 小山良太さん と JA新ふくしま代表理事組合長 菅野孝志さん との対談

菅野:福島市と川俣町が管内で、震災前には約232億円の農業生産量がありました。(中略)震災の年には170億円になり、まだ戻っていません。

−農協では震災と原発事故が起きてどういう対応を?

菅野:(前略)(2011年)4月5日に生産者集会を開きました。ふだんなら2000人程度なのに、3200人も集まりました。私たちは「作ろう」という方向付けではぶれませんでした。安全を確認した上で、責任をもって売る。(後略)

この判断が、大間違いだ。
安全なぞ確保しようがなかったあの状況下で、なぜ、確認でき、責任をもてると思い込んだ?


ところが、対談を読んでも、この過ちへの悔悟がまったくみられない。


こんなひとたちがつくる農産物など、危なくて買えない。
たとえセシウム含量が低くても。


風評被害ではない。
食品生産者としての実力が無いことが、2011年に明瞭になった。
食品安全を確保するに足る、判断力が無い。いまなおそこに気づいていないことも、この対談で明確になった。


まっとうな認識力を持つ農家なら、「このまま作っても、自分の孫には食べさせられない」と感じるような状況だった。
まっとうな倫理観を持つ農家なら、「孫に食べさせられないものを、客に出せない」と判断する。
認識力が欠けていたか、倫理観がゆるいか、同調圧力か。そこに真因が在る。


真因が解消されたと確認されない限り、私はJA新ふくしま産の農産物を買えない。

私たちは「作ろう」という方向付けではぶれませんでした。

誇らしく言えるようなことではない。
恥じよ。
あなたたちのやりがいを、お客さんの安全よりも優先してしまったのだ。