法治

中華人民共和国の司法って、恣意的で、法治じゃなく人治・・・というイメージがあった。
違うのかもしれない。まだわかんないけど。

イメージがゆらいだ理由のひとつは、前にも書いた、日本の司法も恣意的なんだなぁ・という部分。

大阪地検特捜部の証拠改ざんの件とか、小沢さんの件とか。
鳩山さんは、理念が明確だった。
小沢さんは、”変える”という意思が強固だった。
菅政権になって、ずいぶんあれこれ手が緩んでるよなぁ・・・。菅さんも仙石さんも、部分的不具合を指摘し、直すのは得意かもしれないけれど、システム全体を壊して創りかえるだけの設計力と行動力はなさそうだ。

もひとつは、昨日出合ったことがら。法治って、あんまり素敵なもんじゃないかもしれない・的な。

墨子→法家→ブラヴィッシーモ!の三題話。

墨子って、しびれるくらいカッコいい。

あの戦国時代に、博愛と非攻を説き、実践したそうな。専守防衛軍団を組織し、要請に応じて出動、あちらこちらの国を守ったという。
なかでもカッコいい逸話は・・・

楚の王は伝説的な大工公輸盤の開発した新兵器、雲梯(攻城用のはしご)を用いて、宋を併呑しようと画策する。それを聞きつけた墨子は早速楚に赴いて、公輸盤と楚王に宋を攻めないように迫る。宋を攻めることの非を責められ困った楚王は、「墨子先生が公輸盤と机上において模擬攻城戦を行い、墨子先生がそれで守りきったなら宋を攻めるのは白紙にしましょう」と提案する。机上模擬戦の結果、墨子は公輸盤の攻撃をことごとく撃退し、しかも手ごまにはまだまだ余裕が有った。王の面前で面子を潰された公輸盤は、「自分には更なる秘策が有るが、ここでは言わないでおきましょう」と意味深な言葉を口にする。すかさず墨子は「秘策とは、私をこの場で殺してしまおうということでしょうが、すでに秘策を授けた弟子300人を宋に派遣してあるので、私が殺されても弟子達が必ず宋を守ってみせます」と再び公輸盤をやりこめた。そのやりとりを見て感嘆した楚王は、宋を攻めないことを墨子に誓った。使命を終えた帰り道、宋の城門の軒先で雨宿りをしていた墨子は、乞食と勘違いされて城兵に追い払われてしまった。墨子の御技は、救われた宋人にもわからない程の素早さであった。この逸話から「自説を頑なに守る」という意味の「墨守」という故事成語が生まれた。

戦後日本の理想像・・・みたいな感じですよね。


で、昨日はじめて知ったんだけれど、
諸子百家の中でも、この墨子の教えは、当時もっとも盛んだったんだそうな!!!
しかも、
秦の中国統一とほぼ同じくして、なぜか衰退・消滅。
以来すっかり忘れ去られ、再び脚光を浴びたのは2300年ほど経った清末期・・・。

で、秦の大国化に大きく貢献したのが、法家思想。

儒家の述べる徳治のような信賞の基準が為政者の恣意であるような統治ではなく、厳格な法という定まった基準によって国家を治めるべしという立場である。

つまり法治主義なんです。
これがまぁ、厳しいのなんの。罰でひとをコントロールする。
・・・あらら、いまの中華人民共和国の司法のイメージと、おんなじじゃん・みたいな。

昨夜のブラヴィッシーモ!での出来事

日本人って、それとなく回りに配慮しながら、なるべくおおぜいのひとたちがうまくいくようにふるまう。
東京ディズニーランドでパレードを見るときも、更に後ろの人たちの視界が開けるよう、ぎちぎちに詰めずに隙間が自然に開いてたりすることがよくあります。
で、稀に、そこに後ろからずけずけと割り込んでくるひとを見かけます。田舎のおばちゃんか、富裕層限定だったころの中国大陸からの観光客。


先に居た人たちの迷惑に、気がついてないわけじゃないんですよね。でも、なんであんなに堂々としてるんだろう?
不思議でした。


昨日のブラヴィッシーモ!で、久しぶりに、そんな振る舞い(ちとマイルドではありますが)をするゲストに遭遇。
曰く

「ここに立つのに、あなたの許可を得なければいけないの?わけわかんない。」

へ?


思考回路が全然違うんだ、とわかったのは、1時間ほどたってからでした。
あ、そうか。
自分の行動が、なるべく好ましい結果を周囲にもたらすように・・・を基準にしてないんだ。
自己に利益をもたらす行動が、許可されるかされないか、許認可権限を持っているのは誰か、が基準なんだ。
中国大陸の富裕層も、たぶんそうなんだなぁ・・・。


それはたぶん、法治がもたらした結果なのだろう、とも。

秦は、厳罰主義の行き過ぎで滅びた・という側面もあるみたいです。
だから以後の王朝は、また儒家思想も取り入れ、仁をうたったり。
それはそれで、また情実が入ってきたり・・・


行きつ戻りつ。繰り返しながら、人類は歩んできたみたいです。
いろいろあって、いいんでしょう。
いろいろあるから、いまのちょうどがみつかる。
もしぼくが、”権限を持っているのが誰なのか”をもっと気にしていたなら、もっとスムースに仕事が進んだかもしれない。上司に嫌われなかったかもしれない(^^;