ポジティブシンキングと楽観主義の違い

最近、日本でもとくにビジネスの世界で、前向きな考え方が「ポジティブシンキング」などと言われて重要視されている。しかし、それは「ゆっくり待つ」とか「楽観的に信じる」とかいうことではなく、努力、競争するための動機づけのようなもの。その先にあるのは、「なんとかなる」ではなくて、「必ず大成功する」というゴールだ。

 しかし、大成功を目指し努力し続けるための前向き思考は、疲れてくると次第に効力が薄れてくる。「絶対に1位になるという夢をかなえるぞ!」と力を入れすぎ、いつのまにか心身がすり減って、うつ病などに倒れることにもなりかねない。

 チリの作業員たちはたしかにポジティブだが、それは人を蹴落とし、自分だけが勝ち残ることを目標にはしていない。「だいじょうぶ、きっとみんな助かるよ」というある意味で根拠のない楽観主義のようなもの。ただ、今回はそれこそが彼らを守り続ける原動力となったのだ。

 「なんとかなるさ」という肩に力の入りすぎない前向き思考が、結局は人を救う。ここから私たちも学ぶべきことがあるだろう。