シンフォニーヒルズ少年少女合唱団 第6回定期演奏会

http://www.k-mil.gr.jp/program/symphony/2010/0404.html
満開の桜の中、葛飾シンフォニーヒルズ改修後、初公演。


また、更に上手くなった!音程の正確さも発声も。
無伴奏曲で倍音が綺麗に響く瞬間がいくつかあった。先般、選抜メンバーで参加・金賞を受賞した、第25回東京ヴォーカルアンサンブルコンテストで歌った曲を、今日は全員で歌っていたが、むしろあの時より上出来だった。
でも、技量で感動させるレベルには、まだもう一息。
一方で、エンタテイメント性というか・創造の喜びというか、”公演って楽しい!”という無邪気なパワーは、昨年に続いて低下しているようにも想う。創成期をリードしてくれた団員たちの引退・出来上がってから入った団員の増加・目指す技術レベルの向上・平均年齢の上昇・・・といったことが、影響しているかも。いや、僕の感受性が摩滅しているのかも知れない。例年感じる、全身がぞくぞくっとするような波・・・ホワイエに飾ってある緞帳の原画など、素晴らしい芸術に出会った時にはいつも感じる・・・を、今年はあまり、感じなかった。
過渡期なのだろう。
週一回、わずか3時間の練習で、ここまで来た。いよいよ2010年度からは練習時間を増やすそうだ。


ゲストに、愛媛県から八幡浜少年少女合唱団を招いて。
今朝5:10に集合して、自腹で、飛んできてくださったそうな!ありがとう!!!
小学校4-6年生・最長でもわずか3年しか在籍出来ないのに、このうまさ。結成35年の蓄積なのだろうなぁ。緊張感をみせながらも楽しく美しいステージ。


第2部は、2つの合唱団の合同演奏。
唱歌の四季メドレー・編曲がダイナミックで見事。歌唱も美しかった。”唱歌”の持つパワー。
男組Spetial・変声期を迎えたメンバー、みなこんなふうに”天使の歌声”を維持していたのかッ!!!ドゥワップのアカペラコーラスのハイトーンボイスに相通づるスリリングさ・ワクワク・美しさを感じた。賞賛のどよめきが起きる。


アンコール曲・両合唱団揃っての”未来へ”(作詞:谷川俊太郎さん 作曲:信長貴富さん)は、ぞくぞくした。

誰もきみに未来を贈ることはできない
何故ならきみが未来だから


2つの合唱団の交流レセプションと、シンフォニージュニア卒団式に参加する。
八幡浜青年会議所のみなさん・たくさんの先生(明日仕事で、すぐとんぼ返りされた方々も)。人々の厚いサポートで、合唱団は活動出来ている。それは、シンフォニージュニアも同じ。設立に奔走くださった方がいて、情熱を注いでくださる先生方がいて、区の皆さんの厚い働きに支えられている。
そして、歌う曲を創造してくださる人々。作曲家の加藤昌則先生が、すくすく育つ小さなお子さん3人と奥様を連れて参加くださっていた。ひとびとそれぞれにこんなふうに、家族があり人生があり。それがまた為すことに結実する。
ホールを建て、育て、演奏する機会・演奏に触れる機会を提供してくれたひとびと。
レコードやラジオを発明し、普及させ、音楽に用意に触れることができるようにしてくださったひとびと。
そして、まだそれらが無い時代・モーツァルトという音楽家が居ることを、日本人の殆どが知ることさえ出来ないころに、”唱歌”を創り、オルガンを国産化し、音楽教師を育て、こどもたちすべてが音楽教育を受けられるようにしてくださったひとびと。
調性というシステムを創り、楽譜を発明し、世界中の楽器で合奏できるようにしたひとびと。
たくさんのひとびとの営みの上に、わたしたちの今がある。


卒団式。宮本益光先生が、ひとりひとりにかける言葉。的確に、暖かく。ひとりひとりを大切に想っているからこそ・の言葉。
そして。

ちょっとむずかしいことを言うね。


椅子 というものがあると、座ることができるよね。ないと、座ることができない。
お手洗い というものがあると、入ったり出たりすることができる。ないと、入ったり出たり出来ない。


合唱団も、おなじように、入ったり出たり出来るもの・・・のように観えるよね。
でも、実はそうじゃない。
あって、そこに入るもの、じゃないんだ。創ってはじめて生まれるもの。
だから実は、入ったり出たりできない。


そこに来てくれてる、これまでの卒団生たちが創ったものが、いまも合唱団に生きているように、
今日卒団するひとりひとりが創ったものも、ずっと受け継がれていく。
だから、出るわけじゃないんだ。

哲学的なことだけれど、こどもたちは理解していました。
それはきっと、”創造”を日々実体験で学んだから。
とてもわかりやすい実例を、生きたから。


だからこそ、あんなに言葉が生きた”未来へ”を、実感を込めて力強く歌えたのでしょう。