アメーバ経営の成立に必要なもの

京セラの稲盛さんの”アメーバ経営”、このところ何度か触れている20年前の実習で感じたうまくいく組織の在り方と相通じるものを感じ、興味がある。

1.全員が、”全員がうまくいく”(ということは、もちろん自分もうまくいく)結果を創ることに、腹をくくっていた
2.随時修正が可能だった
3.全体の状況を、全員がリアルタイムに把握できた
4.必要なトピック(アイディアや、アクシデントなど)が、即時、必要な範囲にブロードキャストされる
5.全員が、自分自身の判断・決断の全権を握り、自主的にベストな行動をとれた


アメーバがうまく機能するには、たぶん下記のようなことが必要になるんじゃないかなぁ。

  • アメーバ自身が、ひとつの生命体として振る舞える能力を持つこと
    • 感知力
    • 決定力
    • 実行力
  • アメーバへの情報・資源流通のしくみ
    • ルールの設定
    • グリッドの形成
    • 組織力の発揮
      • 全社の状況をリアルタイムで共有
      • ベクトル合わせのしくみ


京セラでは、独特な会計システムをとって、各アメーバ、自分たちが採算が取れているのか・いないのか、どう振舞うのが経済合理性が高いのか、きちんとわかるようにしている・・・と聞いている。
たぶんそれ以外にも、各アメーバの自律的経営判断を支援する仕組みはあるはず、
”なにが京セラらしさなのか”は共有されているだろうし、
もっと具体的に、各アメーバがどう振舞うと、全社にどう影響するのか、知る仕組みもあるだろう。
アメーバ同士の意思疎通をはかる仕組みも、たぶん。


先日記事にした、これとも相通じると想う。

ピラミッド型組織全体をひとつの単位として、適用・運用したとき、オーバーヘッドが大きくて、タイムラグが無視出来ない大きさになった・ということだろう。
だから、分散処理型のネットワーク組織にする。

PCWにおいて、戦闘力の根源は、センサー機能と意思決定機能、交戦機能が自己完結するかたちで組み込まれた個々のプラットフォームにこそあるものとされている。

ところがこれだと、連携がうまくとれない。で、グリッドの概念を導入。

NCWにおいては、この枠組みを解体し、全プラットフォームを、情報系、センサー系、交戦系グリッドの部分集合として捉えなおす
(中略)
適切な交戦規定 (ROE) 策定の上で、下級指揮官に対して意思決定権限を委任(Bottom-Up/Power to the Edge)
(中略)
共通戦術/作戦状況図(CTP/COP)を作成することで、全階梯で情勢認識および上級指揮官の意図を共有し、下級指揮官が主体的に敵情に対応して行動を起こすようにする (自己同期: Self-Synchronization)

この3点が主眼らしい。

同士討ちや、機能重複をあまり気にせず、各アメーバかなり自主的に動く・・・と聞いたこともあるのだけれど、実際はどうなんだろう。
たぶん、セクショナリズムに陥らない仕組みが、あるんだろうとおもう。


京セラって、いろんな会社を吸収して、いろんな分野に進出して。
それでいてちゃんと、”京セラらしさ”ってあるし、総合力も発揮しているように、僕には感じられる。
ヤシカなんてきっと、色濃い企業文化が有ったろうと想うのだけれど・・・
そこに興味がある。
資源や持ち味を、時代の変化に応じて、いろいろに生かすヒントがあるような気がして。