無敵

「戦わないで争わないでいると、的がいなくなって『無敵』になる」
正観さんの長女には知的障害があった。
下には妹がいるが、長女が遊んでいるおもちゃをいつも取り上げてしまう。
また長女は違うおもちゃで遊び始めるが、また妹が取り上げる。
そのことを何度も繰り返すうちに、妹は長女からおもちゃを取り上げることが無意味だと気づき、一緒に遊び始めた。
無敵とは敵を全部なぎ倒したら、無敵なのではない。
「敵がない」ことが無敵の本質である。


正観さんはこの娘さんから大きな教えをたくさんもらっているようだ。
この本の最後にこんなエピソードが書かれている。


長女が小学6年のときの運動会。
筋力がないために、徒競走ではビリ以外とったことがなかったが、その年だけは捻挫をしている子がいたために、初めてビリではなくなる可能性が高かった。
しかし、スタートすると長女は捻挫している友達を気にかけながら、助けながら一緒に走り始めてしまう。
そして、一緒にゴールするのかと思いきや。
ゴールの直前で、そのこの方を「ポン」と押してその子を先にゴールさせた。


このことで、正観さんは人間は競争したり他人を蹴落としたりすることではなく「喜ばれる存在」になることだと気づいたと言う。

人の悩みの大半は、

他人を変えようと思うところから生じている・・・・

人生の使命は「頼まれごと」の中にある・・・

本書のエッセンスは、草原と青空の綺麗な帯に書いてあります
「100%幸せな1%の人々」
とは、
思いをもたず、
今、恵まれていることに気づいて、
感謝をしている人々です


「思いは実現する。強い意志の力で自己実現を目指す」ような自己啓発・成功本の
アンチテーゼのような本だと思います。


「自分が自分が」と言う時代の限界から、「人に喜ばれる存在」を目指す時代に。


小林正観さんの説得力があるところは、
「世の中の為に自分を犠牲にしなさい。がまんしなさい。」とは正反対で、
「人に喜ばれる存在」になって幸せなのは自分自身であって、
そうなった方が得である。と言う、極めて、損得勘定からの発想であるからです。