特性

GIGAZINEに、秀逸な分析記事を発見。
2年前の記述なので、現況はまたちがっているのかもしれません・・・

意外かもしれませんが、Googleはコミュニティを作るのが苦手です。というか、ユーザーとコミュニケーションを積極的に行っているような印象はありますが、それはユーザーの方から自発的にGoogleと関わっているだけであって、Googleからユーザーに関わって来るというのは極めて珍しいのです。つまり、Googleは利用者から見れば、いじっておもしろい「おもちゃ」でしかない、それが現実です。

(中略)

このあたり、マイクロソフトは異常なほどコミュニティ構築に熱心です。これはネットサービスをメインとするGoogleと、ソフトウェアをメインとするマイクロソフトの差によるもの。というのも、ソフトウェア開発とはいうまでもなくプログラミングであり、プログラミングには過去の先達たちの残した資料やデータは必須。また、開発中にわからないことがあれば、もう誰かに尋ねるしか方法は残されていないという場合も多々あります。誰にも尋ねることができずに無茶なスケジュールで開発が行き詰まり、デスマーチに突入というのも珍しくないはずです。そして、Linuxというコミュニティに危機感を抱いた本家マイクロソフトは、ウインドウズに関連する様々なデベロッパーに対し、ある時期から非常に密なコミュニケーションを取るようになりました。

このあたりの意気込みは以下の日本語版の玄関ページで確認できます。とにかく書いてあることがすごい。掲示板の運営方針とかああいうものをさらに突き詰めた感じです。

Channel 9 の基本方針

1. Channel 9 は会話をするための場所です。Channel 9 は、マイクロソフトとユーザーが本音で語れる場を設けることを目的としており、マーケティング ツール、PR ツール、リード ジェネレーション ツールのいずれでもありません。

2. ひとりの人間として。Channel 9 は、Channel 9 のチーム メンバが自分らしくあることができ、チームについて紹介し、チームがマイクロソフト ユーザーについて知るための場所です。

3. 人の意見に耳を傾けてください。他のユーザーの意見から学べることは大いにあります。過剰な自己防衛に走ったり、議論に持ち込むために反論したりするような行為は禁止しています。他のユーザーの意見にも耳を傾け、そこから学べることを吸収してください。

4. 適切な判断を。意見を述べる前に少し考えてみてください。固定概念を押し付けたり、負の状況を引き起こすだけの何のメリットもない発言が見られます。

5. Channel 9 ではマーケティング活動は行いません。Channel 9 への投資は、驚きと喜びを得るために行っていることで、宣伝活動のためではありません。

6. 公序良俗に反する発言は禁止しています。恒常的な変化の定着には時間がかかります。

7. 引き際を見極めてください。議論しても解決せず、問題を引き起こすだけの話題もあります。これは検閲制度とは無関係ですが、現代社会の公序良俗を保つために必要です。法律や財産に関する問題を持ち出しても、事態は何も変わりません。公序良俗に反し、サイトにアクセスしたユーザーを動揺させ、負の状況を引き起こすだけですので、そのような行為は慎んでください。

8. ばかなことはしないでください。意地悪な人を好む人はいません。

9. 会話に参加してください。忙しいという理由だけで他のユーザーの意見に耳を傾けるのをやめたり、他のユーザーの意見に賛同できないからといって、会話への参加をやめたりしないでください。人間関係を構築するには忍耐が必要です。長い時間をかけて人間関係を構築することで、業界全体がその恩恵を受けることができます。

なお、Channel 9日本版サポートブログ: 試験放送終了に向けてのお知らせによると、日本語版はまもなく終了してしまうようです。このあたり、あまりコミュニケーションを日本人が重視しない傾向が如実に出てきた形でしょうか。そういう意味では、あくまでも待ちに徹して黙々と提供のみを続けるGoogleのおもちゃ的スタンスは日本人好みである、と言えるかもしれません。

マイクロソフトは自発的なコミュニティの形成にも寛容で、質問されたらヒントを与えるとか、ときには新製品の情報をリークすることもためらいません。求められれば可能な範囲でそれに応じるのがスタンスらしい。

これは最初からそうだったわけではなく、先ほどもちらっとふれたように、Linuxの脅威を自覚してから「あのような強力なコミュニティ形成が我々にも必要だ」ということで方向転換したわけです。それまでは、今のGoogleのようなスタンスでした。これは予想というか予感ですが、どこかの時点で、これまで無敵を誇ってきたGoogleに危機的状況が訪れたとき、その危機をGoogleが肌で自覚したとき、マイクロソフトと同じような方向転換を図るのではないかと思われます。

Yahoo! Answersの回答者は厳選された精鋭ではなかったのですが、無料だったために回答者の数が尋常ではないほど多い。そして、数が多いということは、必然的に回答が返ってくるまでの時間も短くなる可能性がある。また、回答の量が多いので必然的にピンからキリまで質はバラバラになるものの、確実にその中にはキラリと光る回答も出てくることになります。この「キラリ」の積み重ねが成功への要因でした。Googleが少数精鋭主義で質を保とうとしたのに対して、Yahoo!はみんなの叡智を結集させる方向(Web2.0的方向)で動き、そのために必要なコミュニティの育成と維持というものに全力を傾けたというわけです。数が多くなれば「悪貨が良貨を駆逐する」現象が起きるわけですが、そうはさせないようにするのがコミュニティの運営手腕なのです。まさにGoogleとは逆です。先ほども書いたように、全自動化できない「コミュニティ」という人間の関わるものについて、それまでYahoo!が培ってきたノウハウの差がモロに出たというわけです。

なお、コミュニケーションに関して、Yahoo!もマイクロソフトと同じようにすでに方向転換済みで、公式ブログではコメントが可能です。

(中略)

この方針転換はGoogleに検索シェア1位を奪われてから始まりました。そして現在も続いています。ボコボコにされてもそこからすぐに立ち上がる行動を始めるあたり、見習うべきものは多いはずです。

Googleのビジネス的成功というのは、通常は全自動化できないようなものを全自動化することによって価格を極端に引き下げて広告によって無料化するという手法で成立しており、あまりにもコストがかかるようなもの、あるいは手間暇がかかるもの、要するに自動化できないジャンルにおいては非常に不得意である


この点、ここ2年、興味深いなぁと感じていたのが、GoogleEarthの都市3Dモデル化。
Googleは、3Dモデリングツール・SketchUpを買収・無料化し、コミュニティを創って、たくさんの一般人に実在建築物のモデル化をしてもらった。平行して、外部企業データの導入も。日本中の建物の直方体モデルとか、フロリダのディズニーワールドの精緻なモデルとか。
一方、Microsoftは、全自動で航空写真から都市の3Dモデルを創る技術を購入、VirtualEarth3Dに盛り込んだ。
両者の手法が、従来とは逆!


しかし最近GoogleEarth、まず数ヶ月前、パリ市街全体がテクスチャこそ貼らないものの、建物の形状をほぼ正確にモデル化。最近は、東京・大阪・神戸・京都も、主だった建物のみならず、しかも荒いけれどテクスチャを貼られて。自動化したんじゃなかろうか・・・。

Google Earth にある 3D モデルは、大きく分けて 2 つの方法で提供されています。一つ目は、Google の技術によって、航空写真やコンピュータグラフィックス等のデータを組み合わせて再現したものです。二つ目は、企業や一般の方がお持ちのデータを提供いただいたものです。

どうもそのようですね。
そしてちょうど一昨日、こんなBlog記事に触れたところだった。

Google Earthの[建物の3D表示]レイヤへの追加基準が判然としないし、日本の場合はGoogle 3Dギャラリーにアップロードされているにもかかわらず、外部から調達した市販の(?)3D建物モデルが採用されていたりもします。英語版の3Dギャラリーでは、[建物の3D表示]レイヤへに追加が承認されなかった時はGoogleに文句(^^ゞをつけることができるようになったみたいですが、多くの人がそういう不満を持っていたのでしょう。私自身も自分自身を取り巻く環境が変わり、もうGoogle Earth用の3D建物モデルを作るモチベーションが維持できませんが...

あるとき、上司から「おまえは仕事をエンジョイしているか」と初めて聞かれ、「はい、面白いです」と答えたところ、その上司は「ならいい!」と言ってくれたそうです。もし「面白くない」と答えていたらどうなるかというと、「理由は?私がどのようにしてその問題解決に協力できるか教えてくれ」と逆に聞き返してくれるそうです。

「自分の全身が嬉しい嬉しいと言う方向に、自分を持っていくのがベストの生き方なんですよ」

「私がモノに魅力を抱き続けている理由は何だろうと最近よく考えます。やはりモノの向こうにそれを作った人々が存在し、その人々の思い、挑戦、技、創造、使い手に対する配慮が、モノを通して語りかけてくるからでしょう。言語を思い切り広義にとらえるならば、モノの存在は言語の一部です。あるモノを真ん中に置いて、そのモノに関わった人とニヤニヤしながら一緒に酒を飲めば、いきなり旧知の間柄以上の関係になれる。至福感が訪れます」

「モノ」への熱い思いを語る渡辺誠一郎氏 「日本のモノづくりはそう簡単に死にません。日本人の美点は明確です。根気よく一つのことを代々続けていける能力。誰かが築いた土台の上であっても、その山を少しでも高くして後世に伝えることを是とする感覚。つまりおそろしく長い期間をかけてモノを育てていけること。この美点は日本に十分残っている。自信喪失する必要はないのです」