秋葉原 → シルク・ドゥ・ソレイユ”ZED”トライアウト公演鑑賞

長男と秋葉原へ。
お目当てのT60は、とうに売れてしまっていた。
OTTOの店員さんによると・・・高解像度モデルは、プログラマなど、それじゃなきゃ駄目なひとがわざわざオーダーし、所有してる。で、その代替となる新機種が無いから、手放さず、出回らない・・・なるほど。
久しく行かない秋葉原。お店があれこれ入れ替わったり引っ越してたりして、驚く。すえた汗のにおい。女の子も増えたけど、なんだか背中が丸いなぁ。とおもったら、なにかの集まりが終わったのか、しゃきっと背中が伸びた女の子・男の子とたくさんすれ違って、新鮮な風を感じた。


東京駅、京葉線への通路はZEDの広告づくし。
16:46 舞浜着

成城石井


シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京へ。
お客さんの雰囲気や服装が、TDL/TDSとは大きく違う。おしゃれしていたり、クリエイティブだったり。
席で次男・妻と合流。
ZED鑑賞


観想を一言で言うと、”もったいない!”
まぎれもなく、世界第一級のアクロバット演技。上海雑技団・木下大サーカス・ボリショイサーカスや、オリンピック競技を上回るレベル。しかもその動きが、情感を表現するレベル・舞踏や演劇の領域にある。実に素晴らしい!
劇場も、空間・居住性・音響・演出機構、どれも超一級。


なのに・・・感動しない。
ミスティックリズム、HKDLのフェスティバル・オブ・ライオンキング、ブラヴィッシーモ!、昨年までのフェスト・オペラのほうが、感動の質がはるかに深い。表現したいテーマは、おんなじなんだろうに・・・
そして、ミニー・オ−!ミニー、ビッグバンドビートはおろか、先日のG/Disco-Styleの幕間でビール片手に軽く踊ってくれた、ほんもののミッキーマウスマーチパラパラのほうが、はるかに”躍動する 生命の芸術”だった。


なぜなんだろう、これだけ贅沢な材料を使っているのに。


ひとつには・・・舞浜でこれまでやられてきたショーが、とんでもなく素晴らしかった。
どのアクロバットも、難易度や人数は絞られては居ても、目にしたことがある。
舞台機構も、最先端のものを、あたりまえに享受してきた。
しかも、その使い方がさりげない。
ジャグリングやパントマイムの世界チャンピオンクラスの演者が、時間告知もせずに道端で演技をしていたり。
大金をかけた機構を、ショーの大半隠していて、使用するのは5分だけだったり。
だから今回、意表を突かれた驚きは、まったくなかった。


ひとつには・・・演者がまだ固い。
特に音楽。生演奏なのだけれど、バイオリン以外は、まるでBGM。ミスティックリズムの、さりげないのに情感溢れる演奏には程遠い。
音量の上下も、もっと繊細な演出が必要だと感じた。
一方、ミッキーパラパラは。数百万人を熱狂させたひとたちだったわけだから・・・。
実体験の蓄積って、凄い。


ひとつには・・・盛り込みすぎて、緩急がなくなってる。
冒頭とエンディングは、意図が良くわかる。
でも、本編は、似たようなトーンの連続。凄いアクロバットが繰り広げられているにもかかわらず、眠くなってしまった。
表現しようとしているであろう世界観が、全然伝わってこない。こころの深いところを揺さぶられない。
熱演に、おもわず”おーっ”という声を数度あげてしまったけれど、身体が熱くなるような興奮は無かった。
涙は1度、ごく軽くにじんだだけ。
いまのショー演出なら、伝統的なサーカスの演出で同じ演技をやったほうが、よほど感動的だろうと想った。


ひとつには・・・30分のショーと、2時間のショーとでは、構成の考え方をまったく変えなきゃいけないのだろう。
ちょうど、”白雪姫”成功のあと、ディズニー以外のアニメーションスタジオも一斉に長編アニメーション映画を作ったけれど、
成功したのは、"短編の延長で長編は作れない"ことを心底理解していた、ディズニースタジオだけだったように。


もっと、ショー全体でなにを伝えたいのか・・・世界観が浅い!
各シーンは、どんな領域を表現するのか・・・世界観が狭い!
煮詰める必要があると想う。
これって、今年のフェストオペラで感じたことと、とても似ている。
昨年のフェストオペラや、クリスマスファンタスティークのような深みとトーンが、本来は演出できてしかるべきなんじゃなかろうか。
狂言回しにパントマイムの要素を加えたり、音楽を変えたり、HKDLの愛を感じてのようなシンプルで劇的な場面転換を工夫したり。


チケット代の価値は、十二分にある。
フィナーレ、観客の9割はスタンディングオベーションを送ったし、カーテンコールも2回あった。
我が家は立つ気にはなれなかったけれど、それでもあの熱演っぷりには、手が痛くなるほどの拍手を送った。
素晴らしい演者たちの中でも、今回特に感銘を受けたのは、男女ペアのバランス技。ゆっくりとした動きから、大地を流れるエネルギーのようなものを感じた。



とても厳しい感想になってしまったけれど、必見。
サーカスとしては超一流。あのレベルの演技は、そうそう見られない。
そして、素材がこれだけ素晴らしい以上、必ずや感動的なショーへと練り上げられていくに違いない。その過程に触れるためにも、是非。
どう化けていくのかが、大いに楽しみ!


今回、お客さんの入りは半分ほど。とはいえ、前方の高額席はほぼすべて埋まっていた。
日によって、込み具合に差はあるそうだけれど、思い立ってふらっとチケット窓口に立ち寄れば、たいてい入れるみたい。


スタートしたばかりにもかかわらず、キャストさんはかなり手際よく動いている。思いやり溢れる接客にも好印象。

終演後、劇場を出て斜面を下っていたら、お会いしたいなぉと想っていたキャストさんとばっちり遭遇!ご縁って、不思議。