これで人類は存続できるかも・・・

朝刊読んでて、ぶったまげた。
扱いは小さめな記事だけれど、将来”人類史を変えた提案”と呼ばれることになるだろう・・・オバマさんが大統領になったなら。

非炭素系で全電力 ゴア氏が米国家目標提案
今後10年以内に非炭素系のクリーンなエネルギーで米国の全電力を賄えるようにするとの新たな国家目標を提案した。
ゴア氏は、故ケネディ大統領が1961年に人類の月面着陸を目標に掲げてから8年2ヶ月で実現した例を出し、10年以内の発電クリーン化は「達成可能だ」と強調。最大で3兆ドル(約320兆円)と見積もられる財源確保のため、温室効果ガスを排出する燃料使用への課税を実施すべきだと主張した。
(中略)
太陽光、風力、地熱などによる発電比率を高める一方、約2割を占める原子力は現在の水準を維持する方針を示した。
大統領候補オバマ上院議員は「賛同する。提案はわたしが大統領として実施していくものだ」と全面支持を表明。

わかりやすく・チャレンジングで・わくわくするような目標。
そして、”発電クリーン化”という狙いどころがいい。
まず即効的効果として、原油先物市場の高騰に歯止めがかかるだろう。
どのみち温室効果ガスを排出する燃料使用への課税(炭素税)で、ガソリンなどの価格は高騰するわけだけれど、ドバイに無駄な高層ビルががんがん建築されたり、ど田舎に誰も使わない立派な道路がじゃんじゃん出来るのではなく、クリーンエネルギー開発に資金が向かうわけだ。
”燃料の脱石油化”を狙いどころにするよりは、穀物の高騰を緩和できる。


脱石油は、緊急課題。
地球温暖化ももちろんだけれど、もっと差し迫った危機もある。
石油採掘量の伸びが、消費量の伸びを上回った瞬間、投機ではなく実需で、石油価格は暴騰する。その破壊的影響は、想像するだに恐ろしい。


僕の職場も、懸命に炭素系エネルギー消費削減に取り組んでいる。
多大な設備投資をして、夜間蓄熱設備やコージェネレーションシステムの導入をしたし、高効率機器への更新も行っている。
もはや現時点では、設備改善による削減は難しく、あとは地道な無駄省きを積み重ねるしかない。でも、それで削減できるのは、いいところ数%のレベル・・・東京都が今後要求する予定の15%なんて、到底無理!


有望な技術は、たくさんある。
でも、まだ高コストだったり、開発資金投入が不十分だったりで、普及段階に至らない。普及しなければ、技術も進化しないし、価格も下がらない。


炭素税が導入され、新エネルギー技術開発への援助がなされれば、状況は大きく変わる。
たとえば太陽電池の価格が下がり、一方炭素税で燃料価格が上がれば、導入効果が出る用途が増える。販売個数が増え、電池価格がますます下がる。
ドイツはこれで、太陽電池技術でずっと世界一だった日本を抜き去ったそうな。


ところが・・・日本の政治システムでは、誰も”炭素税導入”を本気で打ち出せない。支持してくれる母体がないから。


アメリカの大統領制なら、こうした思い切った目標をぶち上げることが、政権奪取への大きな力と成り得る。
世界一の経済規模であるアメリカが、炭素税を導入すれば・・・
他国も同様の施策を、大胆に打ち出せるようになる。
新技術の開発と普及が、どちらも著しく進む。


50年後に、CO2排出量半減。
やらねば人類は存続出来ないけれど、到底無理だ・・・と想ってた。
ゴアさんの提案が通れば、実現できる。
アメリカ合衆国。なんてダイナミックな国なんだろう。