社会的バリア

朝刊に、静岡県で亡くなったホームレスの女性の記事があった。


ある体験談を思い出した。
セミナーの実習で、「お昼ご飯を、初対面の人と一緒に食べてくる」って課題が出たんだそうな。
そのおじさんは、困った。初対面のおじさんと、一緒にご飯を食べてくれる人なんて、そうは居ない。
こわごわ声をかけては、断られた挙句・・・・・同年輩のホームレスさんに声をかけたんだそうな。
ホームレスに声をかけるなんて初めて。OKをもらって、とても嬉しかったそうな。
ところが・・・どのレストランに行っても、入店を断られる。止む無く、テイクアウトのサンドイッチを買って、公園で一緒に食べたんだそうな。


あれこれお話しながら食べた、その時間は、とっても楽しいものになったそうな。


食べ終えたところで、ホームレスさんが・・・
「もし良かったら・・・お風呂を貸してはもらえないだろうか、そして、背広も」


数日後、彼はぱりっとした身なりで、背広を返しにきたそうな。家族と一緒に。
実は彼は、腕の立つ建築家さんだった。
背広を借りたその足で、建築事務所の面接を受け、即採用され、家族のもとに帰る決心がついた。


ショックな出来事があって、仕事をほうりだしてふらりと街を彷徨って。
そのまま、帰るきっかけを失ってしまった。
一旦、そうなってしまうと、”違う世界の人間”として扱われてしまい、戻ることがどんどん難しくなってしまう。



東京は今、とても美しい。まるでTDRのよう!
河川敷でさえ、空き缶もペットボトルも落ちていない。
それは・・・ホームレスのみなさんのおかげ。
缶やペットボトルの回収が、生活資金になっているから。
そして、資金にならないゴミも、併せて拾ってくださっているようだ。


過日、舞浜に出かけたとき。
舞浜大橋の江戸川区側たもとで、横たわるホームレスのおじさんが居られた。
体調不良か・・・と、どっきりしたが、漫画を読んでおられたので、ほっとしてそのまま通り過ぎた。
寒風の中、わずかな風除けのもと、横たわるおじさん。
そして、橋を渡った先には、金色に輝く、大きなディズニーランドホテル。



パレードフロートの折損は、たしか、その日だった。




どうか舞浜が、そして日本が、
すべてのひとびとを、より深く幸せにする場所でありますように。