”効率向上”の難しさ

はっきりすっぱり言ってしまえば、今回は、スペースマウンテンの軸折損同様、
「負傷者が出なかったのは、とても幸運」です。
OLCのかたがたも、重々承知のはず。


スペースマウンテンのとき、たぶん、原因である「文書管理体制の不備」は修正されたはず。
今回も、原因を追究した上で、フロートの設計基準や、保守検査体制の見直しは、必ずなされるでしょう。


でも・・歴史上、そして僕の経験上、それだけでは事故の連鎖は止まりません。
もっと根っこで、たぶん経営方針や風土のレベルで、はっきりと真因を突き止め、変えないと。


なにか、大切にすべきことが、見落とされてます。
なにか、優先順位が狂ってます。

OLCさんでは、効率Eよりも、安全S・丁寧さC・ショーSを優先することになっているそうです。
全従業員が、入社初日に習い、以後、目に触れるものすべて、それが見て判るレベルで徹底されている。実例を通して理解が深まる。


ところで。
”効率の向上”って、”無駄”を発見し・省くことで成されることが多いのですが・・・
実はその”無駄”こそが、実は、安全S・丁寧さC・ショーSを支えていた。省いてはいけなかった・・・なんてことが、しばしば起こりがち。
TDRのショー製作部門には、布を染める設備まであるそうです。たとえばティンカーベルの衣装の色が、ほんのちょっと違っていたからといって、それに気づくゲストが何人居るのでしょう!?!「調査した結果、0人だった。だから、設備廃止!」なんてことが、”効率の向上”においては起きがち。結果、魅力の源泉をつぶしてしまったり。


私の勤務先は、食品を扱っています。
安全(顧客の安全も含む)・品質・コスト の順で大切にしています。
新しいセンサーが開発され、従来の手法よりも、設備の洗浄完了が明確に・効率的にわかるはずだとします。「試用した結果、原理どうりの動作。だから、設備切替!」・・・とはなりません。
測定原理が違う場合、それで見落とされる物質が無いか、しっかり検討します。
センサーの故障を、感知できるのか、どのように工程の正常さを担保するのか、しっかり検討します。
多面的に検討したうえで設備と工程を設計し、なおかつ、旧来の実績ある手法も併用するか、同等の検査を追加する形で、運用します。
つまり・・・原理的に安全・品質を従前と同等以上にし、さらにその上に、実績ある手法で担保して、導入。


今、うまくいっていることが、なぜうまくいっているのか・・・って、ほんとのところは、全側面きちんと見出すことって難しいんだと想います。
だから「こうすれば、効率が上がって、効果は同等以上」・・・って計算しても、見落としがありうる。
見落としの可能性を、しっかり、愚直なくらいカバーすることが必要。特に安全に関しては。