毎日新聞夕刊 読みたい 本の現場 速水敏彦さん「他人を見下す若者たち」講談社現代新書

僕が空白さんに指摘した「破壊的ギャップ埋め」と同じ領域について書かれた本のようです。

心理学の領域である「感情と動機づけ」を研究してきた。
(中略)
心理学を現実社会と結びつけたまじめな内容が特徴である。
ささいな争いが思わぬ事件に発展したり、仕事も勉強もしない若者が問題になっているのは、他者を軽視することで自らの評価を維持しようとする人が増えているからではないか。
速水さんはこうした感情を「仮想的有能感」と名づけ、現代の日本でいかにまん延し、どんな影響をもたらしているかを実証的に解明する。

仮想的有能感」の度合いを測る11項目のテストがおもしろい。例えば、「自分の周りには気のきかない人が多い」「他の人に対して、なぜこんな簡単なことがわからないのだろうと感じる」「今の日本を動かしている人の多くは、たいした人間ではない」・・・・・・。
ある会社員は「職場でやってみたら、大半が当てはまった」と苦笑いしたそうだ。

「感謝」と真反対のベクトルですよね。


真摯に、具体的に、夢を実現しようと精進している人は、学べば学ぶほど、力が付けば付くほど、自分の未知な領域・至らない領域があることに気付く。だから、謙虚にもなるし、生かされていることへの感謝も湧いてくる。


逆に。
夢がかなったか否かよりも、他者からどう評価されるか・・・「世間様教」に取りつかれていると、「仮想的有能感」に逃げ込んでしまいやすくなるんじゃないでしょうか。
具体的に夢を実現しようとすると、必ず批判にさらされます。他者からの評価を気にするなら、何もしないほうが無難。でも、何もしなければ自己評価が低くなる。で、他者を軽視することで自らの評価を維持しようとする・・・・・。


だから、ほんとに大切な夢を見つけて、真摯に追いかけるってことが、とてもとても重要なんだと、僕は観ています。