父とニューオリンズとスター・ツアーズ

もうすぐ父の7回忌になります。まったく健康体だったのに、突然の死。それはもう、びっくりしました。


私が生まれたころは、まだステレオが登場したばかり。新婚の乏しい給料をやりくりして、我が家でも購入。
しかし、まだまだレコードは、収入に比べて高価でもあり(当時の物価は今の数十分の一。なのに、LPは当時も確か\2,800-!)、そもそも田舎町ではなかなか入手できず、神戸に里帰りした際に厳選して買っては、繰り返し繰り返しかけてました。


なかでも良く聴いていたのが、デキシーランドジャズ。最初は日本人バンドのLPが一枚だけ。たぶん、田舎で手に入るのが、それだけだったんじゃあないかなぁ。
それでも、ほんっとうに好きだったみたい。ジョージ・ルイスのバンドが来日した折、ようやく富山のチケットが取れて、わざわざ広島から出かけて行ったと記憶してます。
やがて「サッチモとブルース」が加わり。これはもうヘビーローテーション(^o^)。隅から隅まで、私の身体にしっかりしみこむほど・・・。
幻の名盤、ジョージ・ルイスバンドの「オハイオ・ユニオン」復刻の折は、大阪の心斎橋まで一緒に買いに行きましたっけ。これが如何に凄いレコードで、発売が奇跡のような出来事なのか、道中たっぷりと聞き。現物にご対面して、広島まで持って帰って、針を落として・・・どなたか一人、富山の公演時には、体調を崩して来日されなかったそうで、それを父はとっても残念がっていました。もしかしたら、バンジョー奏者のかただったかなぁ。「世界は夜明けを待っている」を聴きながら、そんな話をしていたような気もします。
そして、この「オハイオ・ユニオン」でかき鳴らされているバンジョーそのものが、今、ロイヤルストリート6の外山恵子さんが使っておられる、あのバンジョーなんだそうです。


サッチモとブルース」、「オハイオ・ユニオン」、どちらも何百回聴いたことでしょう。
もひとう、「ベニーグッドマン物語」のサウンドトラックも。


父は、ニューオリンズを一度訪ねたいと言いつつ、なかなかアメリカ方面へ出かける機会が無かったのですが、唯一度、ダラスへの出張があり。念願かなって、1日だけニューオリンズへも足を伸ばしました。プリザベーションホールで演奏を聴くのをとっても楽しみにしていたはずなんですが・・・体験談を聞いた記憶がありません。お休みだったと言っていたような。そのころ既に、私は実家から離れていましたから、その体験談を詳しく聞かないままだったのが、残念です。


1988・89と、NKベイホールでジョン・デンバーを招いた地球環境に関するイベントがあり。
父はジョン・デンバーも大好きでした。そしてTDLには、ニューオリンズを再現したエリアと、日本一のスイングバンドと、スター・ツアーズ(父はSFファンで、スターウォーズも大好き)がある。こりゃ呼ぶっきゃない!・・・と、父母を招待しました。
私が仕事を終え、夕方イベント会場で合流したところ、朝から実に効率よくまわり、思いっきりTDLを堪能した様子。特にスター・ツアーズと、バンドの上手さは印象深かったようでした。スイングのショーと、デキシーランドジャズ、どちらも聴くことが出来たと言っていたように記憶しています。


父は、仕事面では充実した生涯だったと想います。定年後も乞われて再就職し、その仕事があらかた終わろうとしたところで、急逝。
急遽実家に向かうのぞみ号の中で、「あと2ヶ月で引退した後、多趣味だっただけに、あれやこれやと楽しめただろうに・・・」とは想いました。と同時になぜか、ニューオリンズの地を踏めて、そして、スター・ツアーズを体験してもらえて、ほんと良かった。心から、そう想いました。