「規範」と「逸脱」3

私は現在、マネジメントシステムの開発・運用を仕事にしています。
その観点から、OLCの運営の仕組みを研究しています。


ルールを「ルールだから」と守らせ、罰則主義でコントロールする組織は、硬直化し、衰退します。
なぜなら・・・ルール作成時に想定していない事態に、適切に対処できないから。
たとえば、JR西日本福知山線脱線事故の際、職場に向かうため事故列車に乗っていた運転士2名が、「定時出社厳守」というルールを優先して、乗客の救助をしなかった。


時代は変わります。要求も変わります。環境も変わります。そしてそもそも、なにが起こりうるかすべて事前に想定することなんて出来ない。
「パーフェクトなマニュアル」って、多大な労力さえかければ作成可能か・・・という研究が、20年ほど前にアメリカでなされたと聞きます。結果は「不可能」。


では、どうすればいいんだろう。

  • なぜそのルールがセットされているのか、それによってなにが守られるのかを、教える必要がある。すると、ルールの想定外の事態が起こったときに、対応が出来ます。
  • そのためにはまず、「なにが大切な価値なのか・どういう優先順位で大切にするのか」を明示する必要がある。
  • そもそも、なぜこの組織が存在するのかを、明確にする必要がある


その代表的な成功例が、OLCです。


個人も、実はおんなじ。
フランクリン・プランナーというシステム手帳があります。
この仕組みも、
1. 自分が人生でなにを使命としているのかを定義する
2. 大切にする価値観・果たすべき役割を書き出す
3. 各価値観・役割にたいして、具体的な目標を設定する
4. 年・週・日の行動計画に落とし込む
というものの様です。


(11/20追記)
ちょうど、今朝の毎日新聞書評欄に「手帳の買い方・使い方」特集が評者2人で。
田中 優子さんは、まず、最近出回っているさまざまな目標設定型手帳の現況に触れたあと、

今や自分自身が経営の対象になったのである。他者と関係しながら刻々と変化し深まってゆくはずの事故コントロールが、固定した現実的目標を持つ「マネージメント」と同じ意味になってしまったのである。
「目標喪失時代」のおせっかい屋さん 田中 優子さん

うんうん、気持ちわかります。
僕自身も、いまフランクリン・プランナーを使っていないのは、この辺りに理由がありそう。
と同時に・・・田中さんは目標設定から先しか見ていないみたい。
ほんとに重要なのは、価値観や人生の使命の設定の部分。これ、いざ言葉にするのに、ためらいがあったりもしますが、実はぽっと浮かんだ言葉が、すっとしっくり来たり。で、その言葉の意味が、経験を積むにつれ、多様な側面が観えて来て深まったり。
「固定した現実的目標」のレベルにとどめず、その更に上位にある「大切なもの」に触れることが、肝要です。
田中さんは結果、超整理手帳に落ち着いたそうで。特に、2ヶ月見通せる部分に魅力を感じて居られる様子。
そういう意味では、もうお一人の評者、大岡 玲さんがちらりと触れられている「みわたす手帳」、面白そうなんだよなぁ。時の流れの中で、記録し続けることで、流れが見えてくる・・・という。


今日観た「完成!ドリームハウス」の建築家みたいに。クリエイティブな発送って、ある種無計画ななかから、アイディアが降ってきたりするし。そういう意味では、あんまりびっちりシステマティックに行動を管理するのって、つまらないような。