分散型組織と中央集権型組織

15年前受講したセミナーの4日目の実習を、未だに印象深く覚えている。
参加者全員(250人だったと記憶している)の利害調整を、目標時間を設定して行い、全員にとってうまくいく結果を作る・というものだった。
まず目標時間の設定。講師から”この規模でこのタイムなら優秀”と提示された時間の、たしか2/3くらいを狙うことにした。参加者全員が目標に合意するまで5分もかからなかった。
そして、利害調整作業開始。目標のさらに2/3くらいの短時間で、作業が終了してしまった!!!
なぜ、そんなに上手くいったのか。折に触れ、思い返している。いろんな切り口で掘り返せるのだが・・・たとえば情報処理という観点から見ると、ベクトルが揃っていた、個人が自立し・自律していた、全体の状況を全員が把握できていた。

  • 目標設定・ビジョンの共有・明確なゴール
    • 自分の中の既存の体験から見ると「えっ!!!そんなこと可能かなぁ・・・」
    • でも「既に実績がある記録の、少し上」「できたらすごい!わくわく出来る」
    • 結果、参加者全員が本気になっていた。
  • 分散処理・・・全体をまとめるリーダーは選出しなかった。各自が、全体の状況を把握しつつ、自分の特性を理解しつつ、瞬間瞬間、ベストと思われる行動を起こしていた。結果、役割が自然発生し、ニーズに合わせて変化した。必要な情報が広報され、ノイズは自然低減した。
  • 全体状況の把握・・・ひとつの部屋の中で行われ、調整結果の記録方法も明確に提示されていたので、その気になれば全体状況を容易に把握できた。把握できるような工夫が、自主的に生まれ、効果的に機能した。

TCP/IPの仕組みを知った時、また、サーバー・クライアントや分散処理という考え方に触れたとき、などなどなど・・・それらの仕組みと、この実習での体験との共通性を感じた。
そして、技術が進み、情報流通が容易になると、あの部屋で起きたことが、もっと大きな範囲で起こしやすくなり、仕事の進め方や組織のあり方自体が変わるんだろうなぁと予感した。

冒頭で挙げた記事、「分散型組織を検討するための考え方 http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001161.html」で紹介されている論文では、コンフリクトの解決がクリティカルな組織は、中央集権型なほうがうまくいく・と書かれている・みたい(^^;。おそらく、目標共有と全体状況のリアルタイム把握さえ出来ていれば、むしろコンフリクトの解決は分散処理のほうがうまく行く。たぶん。
中央集権型な進行がマッチするのは・・・
目標設定???これも現況把握さえ正確ならば、民主主義で分散処理のほうが機動的な気もする。
場と大枠組みのセットかなぁ。価値基準の確認とか、基本ルールの設定とか・・・。

ん?この集権・分散の使い分けって、ISO14000などで導入される「マネジメントシステム」の仕組みと似てる!

  • 中央集権式の部分
    • 規格や法律がルールをセット
    • 最高経営層が価値基準を宣言
    • 審査は枠組みが機能しているかどうかについておこなう
  • 分散式の部分
    • 現場のチームが現況把握し、目標を設定し、主体的に行動し、目標を修正し・・・する
    • 監査も内部で行う