起業家と共同体意識 そしてジョブズ

クビになってしまう。ひどく落ち込む。落ち込み方が独特。

 「前の世代の起業家たちの名誉を汚したと思った。渡されたバトンを落としてしまったと感じた」

 まるでどこかの素封家の後継ぎが、家をつぶして「ご先祖様に顔向けができない」と言っているみたいだ。起業こそアメリカンドリーム。成功物語の歴史を台なしにしてしまったという自責の念。一種の「起業家共同体」への責任感とでもいうべきか。

 米国は日本と違って「敗者復活」がある社会、といわれる。ジョブズのアップルへの復帰はその典型。しかし、共同体の評判の悪いものにはそのチャンスが与えられない。ジョブズは先達の名誉に思いを致す人だったから、敗者復活戦への進出を認められたのだろう。(専門編集委員


毎日新聞 2011年10月12日 東京朝刊

暫定CEO・・・iCEOとして、アップルに復帰。
業績を急回復させ、周囲から本格的にCEOとして復帰して欲しいと望まれたのに、なかなか応じなかった。
ジョブズさんなりの、こだわりと読みがあるんだろうな・・・とまではわかったけれど、でも不思議だった。


たぶん、これ。
一度失敗し、成功物語の歴史を台無しにしてしまった身。
だからこそ、自分自身が胸を張って「これで、歴史に新たな一ページを加えた」と思える時までは、CEOを名乗れなかったのだろう。