マスコミの役割

NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか”を観たあと、まだこころにのこっている。
どうだったなら、戦争に突入せずに済んだのだろう。
若者の暴走っぷりは、幕末と似ている。なぜ、明治維新はうまくいって、でも昭和の初めには、破局に至ったのだろう。


長男と話をしてて、ひとつわかった。

幕末には、まだマスコミがなかった。


商業マスコミが、冷静な分析記事を書かずに、情緒をあおるような報道ばかりをした。
これが大きかったのではないか。
いや、都市には瓦版があったろう。でもそれが、世論や政策を左右するほどの力はまだ、持っていなかったのではなかろうか。


幕末、日本が中国やインドのようにならなかったのは、
ひとつには、下級武士や町人に至るまで、幅広い層が”事実”を学問し知っていたから・といえよう。
列強の接触が、中国やインドのあとだったので、先例を学ぶことができた。
そしてなにより、藩校が広く開放されたり、私塾があったり。
きっと数は少なかったのだろうけれど、幅広い層の優秀な人々が、事実を学んだ。


とはいえ、学ぶ環境は、昭和初期のほうがぐっと整っていたはず。
でもそれ以上に、偏った情報が流され、世間の雰囲気を形成していた。
日露戦争でさえ、かなり対露強硬論に引きずられた様子。
勇ましい方向へ。そして、いざ多大な犠牲が出てしまうと、犠牲を正当化し、権益を確保する方向へ。


ここの部分をこそ、いま、変えなければいけないのかも。