ブラヴィッシーモ!最終公演

姿は消えても、はっきりと残るものがある。
色即是空。クリアだけれど、みっちりとつまったこころ。
浄化されたかのように、さわやかな空気。



8:02 TDS

8:30開園予定だったが、すでにオープン済み(7:55だったらしい)。待ちなしで入園。
まずはリドアイル内をぐるりと歩き、ロメオ前、カフェポルトフィーノ前とめぐる。まだまだ、なかなかいい場所も空いているが、なぜかぴんと来ず。どこで観ようか・・・。

8:17 友人と、ミッキー広場立ち見最前列中央あたりで合流。キャストさんが「こちらでブラヴィッシーモ!ご覧になられますか?」と声をかけてくださる。ミシカまでと、そのあととで、鑑賞エリアの形が変わるため、誘導のために声をかけてくださったそうな。万全の案内体制。素晴らしい・・・。
ロメオ前・絶好の感激ポジションで、友人夫妻を発見。おとなりのかたが創られた、記念カードと、パンフレット・・・このショーの6年間の歴史などがまとめられている・・・を見せていただく。見事なできばえ。


ニューヨークデリで、サラダとビールを購入。小道具製作テーブルで、朝食&あれこれお話。大学生活、クイア理論、エキゾチズム・グローバル化市民社会、原型が生まれた時代だからこそ明確になる課題・問題点・可能性、ショーの意義、創造性、ディテールの創りこみ。なにを素敵と感じたのか、明確に言語化できてはいなくとも、無意識はきっちりキャッチしていたりする。たとえば、この1920年代の、舞台小道具製作の部屋に居るだけで、自ずといつのまにか、そこにふさわしい話題になっていたりするように。


NYを散歩。
スクリュー広場で、キッチンビートが演奏中。小さなお子様たちほど、素直に跳ねる!
タワー・オブ・テラー出口ショップ


10:33 テディ・ルーズヴェルトラウンジへ。開店まもなくなのに、もうカウンターはほぼいっぱいに。意図、仕事と結果と報酬、自分のままで居ることがいちばん世界のためになる・という確信のゆらぎ。そして、シャケ食べてる熊さんとメニュー最終ページの名言。この場所に用意されているものにふさわしいテーマを、ちゃんと話してる。


SSコロンビア号のへさきに。うららかな陽光。おだやかな海がきらきら光って、なんとものどかできもちがいい。で、パーク側を観ると・・・ひと、ひと、ひと!!!こんなに混んでたんだ!ハーバー周りにもあんなにゲストが居るのに。


ハーバーへ。ロメオまえの友人たちに挨拶→ポルトフィーノ前を歩いてると、教会の鐘。結婚式を終えたカップルが、テラスで記念写真→ザンビーニ裏ハーブ園→大階段上。花が綺麗。ここからぼんやり、ミシカを眺めるかなぁ・・・しばしたたずむ→要塞頂上→カメラ・オブスキュラ。友人は一度、ここからブラヴィッシーモ!を観たそうな。


理屈で考えれば、このままハーバーにとどまり、ミシカを観て、そのままブラヴィッシーモ!まで・・・のほうが、好適な観賞場所を確保しやすい。15時になればスターライトパスポートのひとたちも入園してこられる。でも、なぜかぴんと来ない。
ムジカ・メヒカーナが観たくなり、ポートディスカバリー経由でミゲルズへ。
レジに並んだら、ちょうどロス・カンタレシオが登場。コロナ購入、片付けワゴン脇2人テーブルに着席。安定した熱演!


しばしゆっくり。お手洗いに行こうか、じゃぁ、ミスティックリズムの座席に座って、それからにしよう・・・と店を出る。ところが、すでに満席で締め切り!・・・ハーバーにむかうことに。
15:30 ポンテベッキオ火山側袂、ケープコッド方面通路横の壁際ベンチが、まだ無人。あぁ、ここだ!今日観るべき場所は。
すぐに、お隣にも若い女性お2人が、そしてどんどんベンチが埋まる。

WC、ついでにガリオン船に。友人がずらりと!

あれ?・・・ジャック・スパロウだ!!!自由人だなぁ!
日没。美しい夜景。冷え込んでくる。
はやく観たい。と同時に、このまま時計が止まってほしい。


ミゲルズまで買出し。コーンスープとホットコーヒーL
もどってみたら、もはやこちら後ろ正面も、最小限の通路だけ残して、みっちりとゲストが座っている。


セッティングが始まる。たくさんのゲストがハーバーを取り囲んでいるのに、とても穏やか。
15分前。ハーバーの照明がすこし絞られ、プレショーBGMがはじまる。もし、開始当初の曲たちだったら、ここで感情を揺さぶられすぎてしまったことだろう。しずかに澄み渡った水面のように、待つ。そのための曲変更だったのかも・・・。
ショー開始前スピール。年長の男性キャストさんが、思いを込めて語っておられる。遠いがゆえにはっきり聴こえなかったが、どうやらバックストーリーも紹介されていたようだ。「最後の公演となります。どうかじっくりとご覧ください。」ふわぁっと暖かい拍手。


前奏曲。やがて、青く染まるハーバー。白くたなびく煙。
はじまった。
ふしぎと、こころ穏やか。美しい・・・。
プロメテオがでてくるところだけ、頬に涙が。背負っている”苦”を感じて、いとおしくなった。
消え行く魔法陣。うつむきたたずむプロメテオ。そのむこうに、すぅっと現れるベリッシー
二人は近づいてゆく。見守るこちらも引き寄せられてゆく。”集”
そして・・・”滅”。しずかな、実にしずかな拍手。


胸のところ、ちょうど肺の辺り、みっちり詰まったクリアな空がある。
これが”色即是空”なのかなぁ・・・という体感を、なんどかしたことがある。
あたまからすこーんとつきぬけて、すうっとどこまでも拡がってる感覚だったり、
自分の周りの壁がどすんと落ちて、自分と外界とがどこまでもつながってる感覚だったり、
染めれば瞬時に、なにいろにでも染まる感じだったり。
今回は、また違う。
自分の中に、この透明なしっかりしたものが、ある。
色はない。でも、みっちりしてる。
まぎれもなく外界が与えてくれた体感。その鏡のように、自分の中にある。確固たるものとして。


プロメテオが水面下に消えたとき、しずかな拍手がまた、沸き起こる。
穏やかなハーバー。それはショーが始まる前と、物理的にはほぼおなじ。だけれども、確実になにかが違う。


今日、この日を、ジェンダー論やクィア理論に関心が深い友人と一緒に過ごせたのは、最高だった。
朝から晩まで11時間半、いろんなことを語り合った。そのすべてが、このショー体験と結びついている。
陰と陽が織り成すドラマといえる、ブラヴィッシーモ!。
男性・女性って、陰と陽の中でもひときわシンボリックで、いちばんドラマがみえやすい。


すべてがひとつだった、ビッグバン以前の世界。
自分以外のものはなにもないから、体験もない。
あれとこれ、陰と陽とがわかれることで、空間が生まれ、時間が生まれ、物質が生まれ、ドラマが生まれ。
やがて、消え行く。
あとに残るのは・・・体験?そうかもしれない。


友人とカルデラ入口で別れ、スカットルに。手を振り交わしながら乗る。
さて、シンドバッドかなぁ、いや、ブラヴィッシーモ!と同じく陰と陽の遭遇と融合がテーマの、キャプテンEOを観よう。
すっかり静かになったハーバーに戻る。思い出の場所を巡る。要塞頂上→ガリオン船→ガリオン船上デッキから花火→今日の鑑賞場所
ケープコッド経由で、テディ。すでに締め切り。ボーディングブリッジ前に、巨大ダッフィーを背負った女性が。
コロンブス広場からハーバーを望む。すぅっと爽やかないい香りがするかのような空気。なにかが浄化されたような。
リドアイル、ロメオ前、ポルトフィーノ前、ミッキー広場。ところどころで、ひときわすぅっとした気を感じる。じーんではなく、すぅっと。


TDLへ。
21:40-22:15 キャプテンEO 4列目やや左から。こころはすぅっと澄み渡ったまま、女王の変身シーンで、目の両脇がびりびりしびれながら、なみだがどんどん出た。「キャプテンEO、お楽しみいただけましたか?」で、静かな拍手。そこここで穏やかに力強く「素晴らしいねぇ」「凄いなぁ」と語り合う声が。