プロフェッショナル 小売再建 大久保恒夫さん

ユニクロをV字快復させ、今、成城石井を社長として立て直している
社長室をなくした。自分でやったほうが速い雑用はとっととやる。週の半分は、現場に。見る点は単純。店は綺麗か・店員は明るく気持ちよく働いてるか・品切れは少ないか。

  • 小売=お客さんに喜んでもらう

今日は買ってくださらなくても、楽しんでもらって、信用してもらって。

  • 目先の数字を追っていては成長できない

問題点は、現場で言うのではなく、おおもとから、ルートを通して、全社に具体的に指示を出す。”店長は、ロス出さないようにって一所懸命やってるんだよね。だから、具体的に、このくらいはロス出したほうがいいとか、指示出してあげて。”
"客に喜ばれる店作り”の考え方に変えるため、売り上げでの人事評価をなくした。
現場に権限を。本社と現場の間に立つエリアマネージャーを強化。
都心店のリニューアル。企画は店のスタッフが。オープンの日、現場に立ち会って、でも30分で立ち去る・・・店のスタッフ達が、売上データを自分達で分析しながら、あれこれ工夫。充実した顔。
スタッフが、自ら考え、工夫すれば、お客さんは喜ぶ。

  • 自ら考え、動く人に育てる


人気商品ばかりを並べると、売れ行きが落ちる。
たくさん選択肢がある中から、選んでもらう。それが満足につながる。
在庫をしっかり持つ。お客さんに喜んでもらうことのほうが全然優先順位が高い。
成果主義が成果につながるとは想っていない。小売業は、みんなで力をあわせてほしい。必ず売り場がよくなる。競争させると雰囲気がギスギスする。


スーパーに勤務。
若い頃、経営改革委員会で議事録作りを担当。会議の無い日は気になるお店をまわった。
成功してる店は、本社スタッフの支えのもと、店員が自主的に工夫を凝らしてる。”これがコツだ!”


独立して経営コンサルタントに。棚割りソフトつくったけど、開発に時間がかかり、費用の回収が大変。小売関係の仕事をなんでも引き受けた。
9年後、ユニクロの仕事が。急拡大を支えた効率最優先の仕組みが、足かせになってる。
柳井社長に懇親の提案を。まずは、役員に「どう思う?」・・・みな、困った感じ。全部言わせて「これ、全部やります」
1年くらいで、売り場が変わってくる。店員の顔つきが輝いてくる。それが嬉しかった。
3年後、フリースのヒットもあって、利益16倍に。


小売業って、とても人間的だと思います。そのよさを活かしていきたい。
やる気になれば、100馬力のひとが400馬力になる。今まで想像できなかった仕事ができるようになる。そこが一番大事。


売り上げよりも、挨拶と接客を評価。
モニターがお客さんとして来訪・調査。「お客さんが喜んでもらえば、こちらも嬉しい」という気持ちになれば、必ずうまくいく。
モニター調査で2ヶ月、接客が低評価だった店に、接客指導の専門家を派遣、店員で率直な話し合い。生真面目で口下手な店長。3日後、大久保社長が訪問、すぐ店頭に出る。あえて店長に声をかけず・・・

  • 変えるのではなく、変わるのを待つ

去り際、一言「がんばってね!凄く売り場、よく出来てるよ」と声をかける。
参考になりそうなお店を、店長が見学。ここも半年前まで挨拶の成績が悪かった。朝礼で各スタッフがはきはきと今日のテーマを。そして店長が真剣に、お客さんを大切にしたいという思いをスタッフに伝えている。
なにをどう変えたらいいのか考えるうち、あまり眠れないまま、翌朝の朝礼。”連絡事項は特にありません”が続くいつもどおりの・・・

  • 成功しても、失敗しても、人は必ず成長する

「従業員の気持ちを変えるというのは、難しい。今回水野は、失敗するかもしれない。それでもいい。必ず成長する。」


率直なきもちを、朝礼で伝える水野店長。”返事が返ってこないと、寂しいんだ””申し訳ないけど、俺一人じゃできないんだ”・・・とか。
ミーティングの中で、やり取りが生まれ始める。”お客さんと会話が楽しめるお店にしよう”


数日のち、お店を観に行く大久保さん。店員さんがいきいきしはじめてる。
「ひとつの突破口は越えましたね」

  • プロフェッショナルとは

仕事に楽しく挑戦し、仕事を通して成長できる人。
そして部下に
仕事に楽しく挑戦させ、仕事を通して成長させられるひと。