2002年8月5日の朝刊

2002年8月、長男と広島平和祈念式典の取材旅行に出かけた間の新聞が、部屋の模様替えで出てきて、ここ数日、少しづつ読んでいる。
連載漫画のペンタッチが違っていたりして、6年って、意外と遠い昔なんだなぁと感じる。
で、当時は当時で、イスラエル自爆テロがあったり、国内の金融安定化に懸命だったり、小泉首相がけちょんけちょんに批判されてたり。
印象に残った記事。

  • 巨龍その実像 第4部うねる ① 「民の力 公共工事止めた」

南京の紫金山の頂上に、市と省が建設していた地上7階・地下2階の展望台兼気象観測台、5階の高さまで出来上がっていたが、市民の猛反対が巻き起こり、取り壊して植林することに

6月に直径100mの小惑星が地球にニアミス(月までの距離の1/3を通過)したのを受けた記事。

情報流失への懸念が、とっても大きくクローズアップされてる。今から観ると、ちょっと滑稽なほど。
でも、年金問題のとき、このデータを活用する方策が示されたときは、ほとんど反論がなかったよなぁ・・・。

  • どうする学校内失業

新学習指導要領での学習内容3割削減に伴い、美術・音楽の先生の持ち時間が、週5〜6時間になってしまった(ほかの先生は週20時間くらいなのに)

  • 理系白書 第5部 科学の樹⑤ 実験苦手な小学教師

問題視されてた”理系離れ”の原因を、各方面から立体的に探求していた特集記事。
現役の若手小学校教師を対象にした、科学実験教室の、危なげでおぼつかない様子をまず紹介。理科離れ世代が教員になりつつある。
94年実施の学習指導要領で、高校の理科が選択科目に。大学での「初等理科」も座学中心。「教育学部が文系と認識され、中高に比べて、理科嫌いの学生が小学校教員になる傾向がある」

問題は、児童の「理科離れ」ではなく、教員養成制度が生んだ「理科離し」ではないか。好奇心という小さな芽に十分な水と栄養を注がなければ、若葉は大きく育たない。

  • 兵庫・高1自殺の背景は

成績優秀だった生徒。2学期の期末テストで隣の席の友人に答案を見せたのをとがめられ、全先生に謝罪・自宅謹慎処分1週間・反省日記。
3学期がはじまっても、ずっと日記を書かされ。何時に起きて、なにやったくらいしか書くことなくなって。ところが終業式前日、いきなり「春休みも書くように」
ストレスから喫煙し、見つかり、校長らから「ストレスがたまったとは、何や」と責められ、家族・友人らと予定していたスキー旅行を担任に「駄目です。彼が悪いんです」
・・・先生による”いじめ”だな。型にはめ抑圧したいだけ。先生自身は”指導をしてる”と信じてるから始末が悪い。なぜ、ひとを活かそうとしないんだろう。

米国が計画しているイラク軍事攻撃に、反対。ヨルダン・クウェート・トルコも。
フセイン体制への不信感は強いが、難民の発生や、民族問題の波及を懸念してる・・・と記事は分析してるが、
実際は各国の公式の言い分どおり、
「大国が武力でこの地域の国内問題に介入すれば、地域の平和、治安への脅威になる」イラン ハタミ大統領
パンドラの箱を開けることになる」ヨルダン アブドラ国王
イラク国民は我々の兄弟であり、イラク攻撃には反対だ」クウェート情報省
のとおりだったんじゃないかなぁ。
なのに、アメリカは攻撃を強行。で、周辺各国の懸念どおりになっちゃった・・・。

  • IT革命 「世界がつながる」のウソ

数年前、モスクワ駐在時代に、日本のビジネスマンに「ロシアのIT革命はどうなっています?」IT革命?それってなんですか?
その数年後、森政権誕生直後、日本に一時帰国すると、「IT立国論」で大騒ぎ。
でも、そのとき既に、ITバブル崩壊は近づいてた。
・・・という、ワールドコム経営破たん直後ならではの記事。
”米国の株式会社システム全体を揺るがす事件””永遠の成長が続くという、ニューエコノミー論の破綻””グローバルスタンダード拡大論も崩れた”との批判が一斉に噴き出している・・・そうな。
記者は言う。
ロシアの平均月収は100ドル。パソコンは年収以上。接続料金払う余裕のある人は多くない。広大な国土、電話線が無いところが圧倒的に多い。
アフガニスタンへの前線取材、電気がない。
世界がもし100人の村だったら」には「村人(100人)のうち2人がコンピューターを持っています。けれど、14人は文字が読めません」

もっと応用が進むかと想ってたけれど、いまのところまださほど。

こちらは当時の懸念どおり、買い替えが進まず。

  • 香乱記

東南の方向に天子の気をみたのであれば、それを消すにはどうしたらよかったのか。始皇帝はその気を威圧しようとしたが、方法は逆であったというべきである。皇帝は自身の恭粛を天下にしめせばよく、その明確な表現は、
大赦令」
をくだすということである。そういうことをふくめて人民を縛っている綱を緩めれば、東南の天子の気は消えたであろう。政治は人を愛することが基本にあり、そこをまちがわなければ、才徳がとぼしい君主でも悪政を行うことは無い。
(中略)
夾雑物のない郡県制度を維持しつづけた。この制度の美しさが未曾有の醜悪さを招くのであるから、人は人文に関心を持ち尊重すべきである。始皇帝は天文にしか興味をもたなかったのかもしれない。