オズの魔法使い

オズの魔法使い - Wikipedia
この映画には、ひとつ個人的に忘れがたい思い出があります。
大林宣彦監督のチームの撮影監督、薩谷さんと、「MGMのミュージカル映画って素晴らしいよねぇ」というお話になって。
「田村君は、どの映画が一番好き?」「ごく限られた作品しか観ていないんですけれど・・・その中では、”雨に歌えば”」
薩谷さんは、意外そうな顔をされて、「ほほう、どんなところが?・・・・・なるほどねぇ!」と、熱心に聴いてくださいました。
そのあと、大林組で撮影されたTVドラマの挿入歌に、”雨に歌えば”を使ってくださって。偶然でしょうけれど、嬉しかった。
一方、薩谷さんは「僕は断然、”オズの魔法使い”。ジュディ・ガーランドが、とってもいいんだ・・・・・」
当時の僕には、意外でした。むしろ、MGMっぽくない映画のような気がしていたので。で、改めて鑑賞して、”うわぁ、こんなに凄い映画だったんだ・・・”と驚きなおした記憶があります。


もし、ジュディ・ガーランドではなく、当初の予定通りにシャーリー・テンプルがこの映画の主演だったなら。
二人の人生は、大きく違っていたかもしれない。
いや、その前に、映画そのものがたぶん、全然違う意味合いをもったものになっていたような気がします。
薩谷さんや僕が、こんなにあの映画に惹きつけられる事はなかった・・・かもしれない。
大林映画が、全然違う風合いになっていた・・・かもしれない。
ありのまま生きようとすることの尊さを、こんなにたくさんの人々が感じるには、もっと時間がかかった・・・かもしれない。
Wickedという傑作ミュージカルは、生まれなかった・・・かもしれない。


いや、それでも起きるべきことは、起きたのかもしれませんが。
そしてなにより、ジュディ・ガーランドがドロシーを演じるということ自身が、起きるべきことだったのかもしれませんが。