朝は、雲ひとつ無い快晴。無風。
花粉が飛んでいるのか、360度ぼんやりと霞がかかる。
まさに春のような天気。


昼前から曇り始める。


プレシャス・トレジャーの緑のお姉さんが、
僕のことを「ジョナサン」と呼んでいたそうな。僕の名前を知らないから。
ほんとかどうか知らない。正確かどうか判らない。そう名づけた由来も知らない。
でも僕は、その名が嬉しかった。
不思議だね、「かもめのジョナサン」の特に後半は、新興宗教じみてて、あまり好きではないお話なのに。


14時過ぎ、地上15mの高さにある高架池の点検デッキで、池と、そのむこうに広がる街とをまっすぐ眺めながら、ふとそのことを思い出したとき。
背後から、ごぉーっという音とともに、猛烈な突風がいきなり僕の左右を吹きぬけ、水面を揺らし、眼下の駐車場で竜巻のように土ぼこりの柱をつくり、空に舞い上がっていった。雑多なものをかき回して昇華していくような、映画のように劇的な光景だった。
振り返ると川向こうでは、工事中の公園から、土煙がさぁっと空へと舞い広がっていく。今にも雨が降りそうな、真っ黒な空。


すぐ、「あ、舞浜はパレード開催中だけど、大丈夫だったかな?」って方向に思考が向いちゃったから、感慨もへったくれも無かったけれど。


しばし突風は吹き荒れ、青空を呼び戻し、強風へと。