歴史的な意識

社員D──古びていくというよりはよい年の取り方をするように考慮しながらつくっていきたいと思います。

難波──陶器のデザインをするときに、陶器の過去の変遷、歴史を把握して、その傾向を見ながら60年代のこのタイプを検討してみようということはされるのですか。

社員D──いいえ。私共ではそういうことはしてきませんでした。

難波──デザインをするときのリノベーション的態度というのは、その製品が生まれ育ち、展開してきた歴史に、自分たちがつくるものを位置づけることがスタートだと思っています。そうすると、自分のやっていることの歴史的な意味がよくわかります。
建築家と建築屋の違いは、歴史的な意識があるかないかです。自分がやっていることの近代建築史の中における位置を意識しているかどうかが、建築家であるかどうかの最低限の条件だと教わってきたのですが、それは工業製品でも同じだと思います。

私の勤務先に、私自身に、こういう視点がちゃんとあるだろうか。
今、担当している業務の中で、”マネジメントシステム”に感じては、あるように感じるが。
製品、事業所のレイアウト、運営管理、外部コミュニケーション、人員構成・・・・・ううむ。


TDRを立ち上げた人々には、明確に「歴史に、自分たちがつくるものを位置づける」認識があった。
それが、凡百の遊園地と、まったく違う存在意義を、この二十数年間、TDRに発揮させてきた。そう言えるのではなかろうか。


今、OLCの幹部は、どんな時代認識でいるのだろう。
そのなかでTDRが成していく仕事の意義を、どの方面に見出しているのだろう。
TDSの5周年で、それを垣間見ることが出来るんじゃぁ無かろうか。