『大谷能生のフランス革命』 増補テクスト版

大谷能生さんが、フランス革命から現在に至るまで文化がどう変わり、われわれ人間のあり方にどう影響を与えているのか、各界で活躍しているアーティストと語りながら解き明かそうという企画の議事録です。
第1回は、絵画・写真・映画。これまたすんごく面白い!!!
たとえば・・・

この当時、国のイメージを支配するのは画家か詩人かっていうさ、そのぐらいの高みに、イメージを支配できる芸術家は存在していて。絵を描く。実際にデッサンして、で、歴史や聖書の出来事をきちんと描いてコンポジションして、そういう技術と労働がないとイメージが生まれない時代だったから、すごく重要な役目だったんですよ。誰かが何かを描かないとイメージって生まれない時代だから。この時代、複製も簡単じゃなくて、絵を描くのってすごく時間もかかるし、それによる影響力も強くて、いまのTV並ですね。

そして。フランス革命における重要な出来事「テニスコートの誓い」の歴史画を描こうとして、完成できなかったおはなしが紹介されてます。
なぜか。絵画に描かれるべき人物が、次々と失脚したり、反革命分子として断罪されたり。半分くらいは1年のうちにギロチンにかけられちゃった!
すると・・・だれを、どこに、どんな大きさで描くか、決められないんですね。
(冷戦時代、共産主義諸国の大イベントの都度、首脳陣の並び方が大きな注目点になったことを、連想しちゃいました。だれがどこにどんな順番で並んでるかで、権力闘争の現況を分析してたんですよねぇ。)


これが、写真になり、映画になり。
一旦は、瞬時に現実そのままを切り取ることの面白さに目覚め。映画を発明したルミエール兄弟の作品群。カメラの前で起きていることをそのまま、1分強ただ撮影してる、その楽しさ。
でもすぐに、物語性を持たせるようになっていく。長時間撮影が可能となり、編集をし。グリフィスが大長編・超大作映画を作るまで、ルミエール兄弟から、あっという間。


完成まで数年かかる絵画。1/100秒で記録できる写真。
技術の変化が、共有イメージの創り方を、大きく変化させ。
と同時に、絵画的文法は、写真や映画やTVにも引き継がれていたりもして。