身体的実感覚

  • 説明を組み立てる

この5年間、自分が仕事でなにを為してきたか・・・その一つに、若い人たちの課題解決能力とプレゼンテーション能力の向上があります。
先日、設備改善予算申請資料を作成中の若手社員から、こんな助言を求められました。

残業時間が減る・・・ということを、どう説明すればいいですか・・・

一旦身体的感覚に立ち返ってごらん!
どんな場合に、残業が発生するんだろう・・・・・
たとえば僕自身がさらっと自分の体験を振り返ると、大きく分けて2つのケースを思い出す。

  1. 自分自身の作業負荷が過大で、最高の効率で・休憩無しで・手まちもなしでバリバリ働いて、でも作業終了時間が20時になっちゃう・・・のか、
  2. 今日中にしなければならない、でも、19:00からでないと始められない30分間の作業がある・・・のか。

今回の設備改善をしないと、どちらのケースの残業が発生するんだろう。
設備改善することで、実作業がどうなって、自分は何時に帰れるんだろう。


そんなふうに仮想体験しながら、その実感に沿って、効果的な改善策を探し、説明を組み立てる。すると、説得力が出るんだ。
申請資料が、ただの紙・数式・文章・スライドにとどまっていては、読み手に伝わらない。
創り手の実感が、そこにどれだけ込められているか。

  • 図面と実空間

私はエンジニアですから、図面を見れば、実体がどうなるかかなり正確にイメージできます。けれど、その職場の人たちはそうではない。
TDR三昧: ビジョナリアム

図面から、その仕上がりがイメージできるか。
机がどの位置に来て、手をどのくらい伸ばせば流しに届くのか、何歩歩けば棚になるのか、ひとが背後を横切ったとき、風を感じるくらいの距離なのか・・・
今まであまり意識していなかったけれど、これも、経験で磨かれる、ひとつの能力なんですね。

そう考えをめぐらせて判りました。
先日書いたお金を使うことへの抵抗、実はこれ、事務処理・経理処理が、僕の肉体感覚とまだ一致してないってことが大きな理由だ。
2つの側面があります。

  1. お金を獲得し、使う・・・という日常生活での感覚と、リアルに一致していない
  2. 事務処理作業自体にどのくらいの労力と工数がかかるか、推測できるほどの経験が無い。