プロジェクトX 「炎の料理人立つ」〜オリンピック舞台裏の闘い〜

東京オリンピック選手村の料理提供 http://www.nhk.or.jp/projectx/encore94/index.htm
当時の実写フィルムが見事。雰囲気をよく伝えている。帝国ホテルの支配人、調理場の風景、食事をする選手達・・・なんとも魅力的。

  • 修行の厳しさ

ソースに石鹸液。銅なべをぴかぴかに磨く。ソースがそのまま置かれる。
支配人に指名され、パリ留学。だれも話しさえしてくれない。でも働く姿に総料理長が「村上の料理への情熱は本物だ」

  • 稚内の料理人、皆川さん

レシピが届いたときの感慨と、夜、夢中で読みふけり・試作し・試食会をした思い出を語る。
その声から感激が伝わってきて、思わず涙ぐんでしまう。
画面を見ると、司会の二人も、そしてレシピを創った村上さんも、ジーンとした顔。涙ぐんでる。

  • 外国人シェフたち

来日初日。日本人に手を出させない。
下ごしらえ作業場を見せる。見事な包丁さばきで懸命に働くたくさんの日本人。そして村上さんが一言「料理に国境はない。」
翌日から、仲間として共に調理。

  • ステーキの焼き方

フランス担当になった皆川さん、レアが上手く焼けず、悩む。
村上さんが肉を焼く姿を見る。悠然と焼く。そして一瞬を逃さない。これだっ!俺はあわてていた。
生の姿に触れて、はじめて伝授されること。

  • 未経験への対応

冷凍野菜。塩味。

  • 終わったときの交流。

選手が、皆川さんにメダルを見せにきて。「あなたのステーキでこれが取れた。」
フランス人シェフが、「ムッシュ村上先生」

  • 村上さんの感慨

日本の西洋料理界に、どれだけプラスになったか計り知れない。
料理レベルの高さが、選手を通して世界に知れ渡った。日本に来るお客さんは、みな最初からそのレベルの高さを期待してきてくれる。
死んで生まれ変わっても、また料理人になります。料理を作るのが大好きだから。
作ってるときは楽しいです。楽しいから、おいしい料理ができるんですね。
今、83歳。8年前に総料理長を引退したが、厨房の隣、包丁の音が聞こえるところに顧問室をつくり、居る。


オリンピック以来ずっと、日本中をまわって続けてる料理教室。いつも最後に言う言葉。
「いつまでも勉強・料理に愛情をこめて・お客様の気持ちになって」
見守るときの真剣なまなざし。言葉を伝えるときの素敵な微笑。教えることが、すばらしさを伝えることが、心から好きな人なんだなぁ・・・。

  • パラダイムシフト 「競争を生きるか、協力を生きるか」

「技術は盗んで覚える。覚えた技術こそが身を守るから、誰にも教えない。」
かつてはそうだった。料理界のみならず。


多分、村上さんたちが、そしてそれに続く世代(多分今60代の人たちが主体かな)が、それを変えた。
惜しみなく教える。できる人が増えることが、喜ぶ人を増やし、レベルを向上させ、自分の大きな喜びとなる。
(それとも、いつの時代も、自分で囲い込みたがる人たちと、伝授する人たちとが居るのかなぁ?
 いや、実は10年交代ぐらいで、世代が違ってたりする気もする。協力世代が20・40・60・80代、競争世代が70・50・30・10代・・・なんだか当てはまっていそうな。)


「劣化しない地球」だと思っていたときは、競争を生きてもなんとかなったのだろう。
「地球は劣化する」ことがわかった以上、それではもう、人類は生存していけない。
協力を生きることがとても大切。それが「持続可能な成長」への鍵なのだろうなぁ。