イリヤ・イーティンと篠崎"まろ"史紀によるピアノリサイタル@フィリアホール

ドビュッシー前奏曲集第2巻が凄まじかった。
徹頭徹尾、鳴るべき音が鳴ってる。
無調性の曲で、こんなにこころに響いてくる演奏は、たぶん生涯はじめて。
聴衆の集中力もすごかった。


そこまでの3曲、「凄いな、超絶にうまいな」とおもいつつも、好みじゃなかった。ぐっと来なかった。
ピアノの音のほうがよく響いてくる位置に座っていたのも一因だろうけれど、それだけじゃない。
なんでそこにためをつくるかな、とか、リズムのひっかかりかたがしっくりこないな、とか、アップテンポすぎるな、とか、音色が透き通りすぎて艶や膨らみがなく聴こえるな、とか。現代的に過ぎるというか・・・。
たぶんその3演奏あってこその、あの前奏曲集第二巻。
演奏って、いつもどまんなかの王道を狙ってればいいってもんじゃないんだな。
もし、王道のシューベルト、王道のベートーベン、王道の月の光 の演奏のあとだったら、あの空間は生まれなかったように想う。
スリリングで、どこかひりひりするような演奏たちの後だったからこそ、あの深みと幅を味わえたように想う。


アンコールのガーシュウィンも素晴らしかった。
忘れがたい演奏会が、またひとつ増えた。