カンテツな女 貨物船船長

浅田真央・キムヨナ”史上最高”の闘い 再放送

帰国した真央ちゃんも、いま観てるだろうか。それとも、観ないかな。


先日うるぐすで、江川卓さんが、SP前、真央ちゃんの得点への大歓声を聴いた瞬間のキム・ヨナちゃんの笑みが「気になる」と。
嬉しかった。僕も気になってて、しかもその笑み、江川さんの独特な笑みとよく似てるなぁと感じてたから。
”なるようになるよね・するようにするしかないよね”みたいな、太い剽軽さ。


トリプルアクセル習得をあきらめたときの、すこしさびしいような、でも、道を見出したような、表情。
そこからは一本道。

勝ち負けの執着にこだわり抜いて、
勝ち負けの執着を抜けたその先が
キムヨナの姿に見えたような気がした。

”執着を手放す”って、難しい。執着してる姿を脳裏に描いてしまうから。どう手放せばいいのかわからないから。
キム・ヨナさんの姿を観て、いい言葉があることを思い出した。

人事を尽くして、天命を待つ

江川さんも指摘した、あの笑みは、この境地に入りはじめる瞬間だったのかもなぁ。


真央ちゃんが志した、最高難度と表現の両立。
長かった・あっという間。真央ちゃんはたぶん、銀メダルだったから絶句したんじゃない。

あと9点ももらえる

一瞬、こう考えてしまったことをこそ、悔やんだのだろう。
その一瞬で、いま自分にできる最高を逃してしまったことをこそ、悔やんだのだろう。


きっと近々、彼女は完成させるだろう。
それは、ヨナちゃんが到達した芸術性を、更にスケール大きく拡張したものになるだろう。
バンクーバーでの経験・・・ヨナちゃんの演技と、真央ちゃんの一瞬のこころの揺れとが、それを完成させる材料となることだろう。
いま彼女が滑ったなら、前半のスパイラルの怒りの表現もきっと、もっと深くなる。
いまの真央ちゃんなら、きっとライバルの演技や歓声を感じた上で、沸き起こる焦燥や不安や強がりをも、演技にのせることが出来るのではないか。”鐘”はそれだけの深みを持つ世界だと僕は想う。


ヨナさんが拡げた女子フィギュアの可能性を、
真央ちゃんが、更に拡げて行く。
ライバルであり、同志。同じ競技を愛し、その最先端を切り開いていく。
こうして経験が積み重なり、ひとつのジャンルが深化して行くんだなぁ。

3/4追記

ほんの一瞬だったりするけれど、各選手の練習風景が紹介されることがある。そのたかが一瞬で感じたことだから、あまりあてにはならないのだけれど・・・


演技の芸術性。
ヨナさん、鈴木明子さんは、練習よりも更に、本番が素晴らしかった。高橋大輔さんは、練習のみならずエキシビションよりも本番のほうが、ぐっと胸に迫るものがあった。
安藤美姫さんは、ごくわずかに練習やエキシビションのほうが、芸術性が高かったように感じた。
真央さんは、練習では、本番よりも更に深い芸術性を見せていたように感じた。フリー最後のステップは、本番のほうが勝っていたかもしれない。


正確さ。
ライサチェクは正確だった代わりに、エキシビションのほうがのびやかに芸術性を発揮していた。


練習以上の芸術性と、正確さを、競技本番で両立させるのって、とても難しいことなんじゃなかろうか。
芸術性を発揮すれば、アバウトな部分が出てきそう。
正確さを追求すれば、表現が硬くなりそう。
それを見事に両立させたのが、今回のヨナさんだった。
メンタルコーチがついていたようだけれど、いったいどんな練習をし、どんな心構えに持って行ったんだろう・・・。


”人事を尽くして、天命を待つ”だったのは間違いない。その言葉そのものが、あの時、居た。
いったい、どう人事を尽くしたのだろう・・・。
それを知ることが出来たなら、アスリートや芸術家のみならず、多くの人の福音になると想う。公開されるといいなぁ。