受容

つい今しがた、SNSで、友人の日記に書いたコメント。

どんな○○ちゃんも、そのまんまで素敵だよ。
それがほんっとうにわかったら、勝ち。

”だれにとってもうまくいく社会””win-win”という考え方の根底には、これがあります。


どんなひとも、どんなできごとも、どんなこころの動きも、そのまんまで素敵。


わがままなあの人も、無責任なこの人も、さびしがりやも、強がり屋も、
それを良いと思う僕も、嫌だと思う僕も、
そのまんまで、素敵。
それぞれ、意味があって、今、そうなっている。


そんな私と、そんなだれかとが出会って、
両方が嬉しくなる結果を生めるのなら、一緒に成せば相乗効果が生まれる。
どちらかが嬉しくない結果しか生めないのなら、今回はお別れ。でもその模索は”今、こうなっている意味”を深めてくれる。


とことんこれがわかってたら、
言葉や態度から、色付けが抜けていく。
そのまんまが、そのまんま現れるようになってくる。
”今、こうなっている意味”がよりはっきりし、win-winを起こしやすくなる。




昨日の新聞に、91歳の現役校長先生が紹介されていた。
笑顔を見ているだけで、素敵。奥深い。
そしてその笑顔が、周囲の高校生たちに映ってる。
そんなひとでありたいなぁ。

 短気だが、揺るがない自負もある。「できない子、家庭に問題のある子は、ずっとかばってきた」

 5月24日午後、練馬区の岡本さん宅を攻玉社の卒業生、嶋野仁さん(31)が訪れ、ゆったり酒を酌み交わした。

 嶋野さんはかつて遅刻、欠席を繰り返し、校長室には10回以上呼ばれたのに、まじめになれなかった。卒業前の1月の校長室。「毎日来るか、さもなくばここに退学届があるからすぐにやめてしまえ」。岡本さんに肩を揺さぶられた。3月初めから卒業式前日までの2週間、1人で補講を受けた。職員には「退学させるべきだ」との声もあったが、岡本さんは違ったと知ったのは、卒業後だ。

 「人生で決断を迫られた時、浮かぶのは先生の顔です」。家業の薬局を継ぐために30歳目前で、薬科大を受験。昨春入学し、1番の成績を取った。この日、「先生に渡したい」と成績証明書を持参した。「たいしたもんだ」と岡本さんの顔がほころんだ。

 攻玉社では、万引きを繰り返し退学になりそうな男子生徒に「執行猶予」を付けたこともある。「遅刻、欠席、校則違反をしない」などの約束を4カ月守れば退学にしない条件。生徒は応えた。「退学を命じた生徒は一人もいない。入学させた以上は面倒を見るのが僕の姿勢です」

 穎明館でも、沈んでいる子を励ます。「だからってパッと良くなんかならない。だけど、善意を持って話すとどこかにちょっと残る。それが大事です」

(中略)

 図らずも引き受けた校長職。でも、生徒たちはもう岡本さんを一心に見つめている。「精神面での大事なことを教えてもらいたい」(高校3年、阿部武司君)「『きのう学校で何があった』とかたわいない話題も話したい」(同、女子)「いい学校に入るのでぜひ僕たちに期待してください」(同、久留玲君)

 「100歳になっても穎明館にいる姿を想像できますか」と問うてみた。「できませんよ。今日ただ今をきちんとやるしかない」。だが校長である限り貫くだろう姿勢はある。

 「子どもに好きなことがあれば、やらせたらいい。そっちに引っ張ってやるのが教師の務めです。だから僕はいつも聞くんです。『君は何をやりたいんだ』と」


毎日新聞 2009年6月2日 東京夕刊