妻に語りかけて14年 河野家と松本サリン事件

河野さんご一家の、まなざしの深さと率直さ。


「河野さんだか炉こそ、ここまでがんばってこられたと想うのですが・・・」
「自分より弱い存在が居る、妻を守らなければ・・・それが突っ張りになったというところはあるとおもうんですよね。」


サリン散布車製造にかかわった、元信者。
10年の刑期を終え、はじめて河野さんを訪問して。罪の深さに言葉さえ出ない彼に、
河野さんが「君もついて無いね。」
以来、2ヶ月に一度、河野さんを訪問。河野さんが不在のときも、出入りを許されている。
庭木を剪定したり、澄子さんを見舞ったり。
出所しても、居場所が無い彼。河野さんと居るときは、本来の自分で居られる・・・まさにそんな感じ。



オウム真理教を恨むことで妻が良くなるなら、恨みます。労多くして功が無い、それが恨みだと想うんですよね。」


長男さん
「母には、自分の存在がまだ華族に必要だ言う自覚がある。
もし今後、残念な事態になったとしても、(行き続ける気迫が)一番の贈り物になったのかな、と想います。」



もう一度、妻・母と話したいという望みはついに叶わぬまま、8/5に澄子さん死去
「命の一滴まで燃やし続けて。医学的には生きていることが不思議だと言う中、14年ですよ。強い意志で行き続けてくれた。」


しゃべれなくても、動けなくても、なにも出来なくても。
ひとはただ、生きているだけで、たくさんの贈り物を、人々に届けることが出来る。愛さえあれば。
河野家は、その実例・・・。