喜びと悲しみは、いつもひとつなのかも
日本のポップスには、ラテンフレーバーが色濃く在る。
なかでも”ムジカ・メヒカーナ”・メキシコの音楽は、40年ほど前、多大な影響を日本に与えた。
実は、若かりしころのベトさんも。
14日に、アンベのマスターはじめ、日本のメキシコ音楽を長年担ってこられたミュージシャンのかたがたとお話をする機会があった。
日本にも、メキシコスタイルの音楽を演奏するトリオが数々ある。
世代から世代へと伝承され、4世代を経て。
今の日本のトップトリオ”パライソ”は、メキシコのトップミュージシャンも”素晴らしい!”という腕前。マスター曰く”少なくともテクニック面では、日本人も、もはやメキシコ人にひけをとらない。”
しかしながら・・・若い世代の観客が育たない。演奏者も、若手がもはや40代。次世代の継承者が現れない・・・。
メキシコ音楽は、もはや日本の若者には受け入れられない。そうあきらめておられたそうです。
「でもね、ディズニーシーでは、赤ちゃんからお年寄りまで、ロス・トレス・アミーゴスの演奏に聴き入ってますよ。
なかでも一番人気がある曲って、なんだと思いますか?
”ラ・ビキーナ”
聴きながらなみだ流してるゲストも、よくみかけますよ。」
・・・うわぁ、そうなの!!!ああいう曲の魅力が、ちゃんと伝わるんだ。
昨日のライブ。
ディズニーシーがらみのゲスト11人が、ひとつのテーブルに。
テーブルを回りながら、リクエストに応えるコーナーで、われわれのテーブルからは、異口同音に”ラ・ビキーナをお願いします!”
ね、マスター。一番人気でしょ。”聴き入ってる”でしょ。
昨日の終演後。
ホセさんとハビエルさんが、こんな話をしてくれた。
「ラ・ビキーナ・・・ビキニのお嬢さん って、メロディーはハッピーだけれど、実は悲しい歌詞なんだ。
メキシコで演奏すると、メロディーに引っ張られて、とっても陽気な雰囲気になる。
でも、日本では、たくさんのゲストが、涙を流しながら聴き入ってくれてるよね。」
うわぁっ!言葉はわからないけれど、歌に込められた悲しみを、僕たち日本人はちゃんと感じてしまうんだ・・・・・
もしかすると、言葉がわからないからこそ、深く感じてしまうのかもなぁ。
実は一昨日、ソーリーとエディと、ルイ・アームストロングの話をしたんだ。
彼が”世界はなんて美しいんだ”って喜びを歌いあげると、聴いてる僕らは涙があふれる。
”生きていても、むなしいばかりだ”って悲しみを歌うと、聴いてる僕らは笑みがあふれる。
「そうだね」
ソーリー&トラヘ・ヌエボにも、ロス・トレス・アミーゴスにも、その感覚がある。
あのね、もしかしたら喜びと悲しみは、いつも実はおなじ。ともにあるんじゃないかって想うんだ。
「うん、うん。」
この感覚を、ほんとは日本人も良く知っていた。
けれど、今は忘れている。そして、たくさんの問題が生じている。
みなさんの演奏って、そんな問題を解く鍵のような気がしてるんだ。