トップランナー レ・フレール

兄弟ピアノデュオ。二ヶ月ほど前・ゲツヨルの「兄弟の力」特集でも登場してたお二人。
1台を二人で弾く。弾きにくいけれど、2台で弾くとあわせようとしてしまう。1台なら、息でわかってしまう。
実際、弾いてる姿を見ていても、ふたり一体化している。
手が絡んで弾くのは、4本の手それぞれに特徴があり、役割分担をするから。

  • 弟左手・・・リズムキープ
  • 弟右手・・・ブギウギのアドリブ
  • 兄左手・・・アルペジオ
  • 兄右手・・・バラードなどのメロディ


ピアノの弦が切れる!・・・ほんとに、そんなことがあるんだ・・・。


大家族。12歳でお兄さんがピアノを始め、作曲をし、家族に聞かせ。楽しさを知り。
15歳でルクセンブルクへ留学。何も知らなかったので、12歳で始めるのが遅いとも知らなかった。先生は、ピアノの楽しさを教えてくれた。「幼いころから始めたか否かは、練習時間の長短だ。この練習を重ねれば、君の指は動くようになる。連取しなければ、動かないまま」
やがて弟さんも、ルクセンブルクへ。しかし1年半後、家庭の事情で帰国せざるを得なくなる。
お兄さんは22歳。敬語も知らないので、アルバイトでも苦労。
弟さんはブギウギピアノに独学でのめりこむ。外人よりも手が小さいので独自の奏法を編み出したり。やがて、ドイツのピアニストのもとへ押しかける。コンサートの後、残って、「僕の演奏を聞いてもらえないか」・・・快く引き受けてくれて、聞いてくれて。「素晴らしい!明日、僕と一緒にコンサートで弾かないか」・・・次の日のコンサート。そのとき、会場全体の、あの一体感を初めて感じた。・・・その感激が、話しっぷりからこちらにも体感で伝わってくる。・・・帰国してお兄さん。うれしかった。「やったな!って。僕は当時、何もせずくすぶってたんだけど、弟の演奏がどんどんうまくなってるのが日に日にわかってて。」その喜びっぷりも、体感で伝わってくる。
やがて連弾へ。初めていけると思ったのは「幼稚園での演奏。みんな一体になって飛び跳ねてて。」・・・ビデオでちらりと流れる。ほんと、るつぼ。


母校・ルクセンブルク国立音楽学校の、大ホールでのコンサート。
学校を辞めて以来はじめて、11年ぶりの訪問。それまでなんどかルクセンブルクに遊びには行ったけれど、母校には立ち寄れなかった。「まだまだ」という思いがあって。
600人・満員。スタンディングオベーション
恩師が、「レ・フレールの先生でよかった」と言ってくれて。
恩師の前で演奏するのが、なんせ怖かった。畑の違う音楽に進んでしまい、果たして認めてもらえるだろうか・・・恩返しが出来たような気がした。
もう、どこででも演奏できる。あれ以上怖いものはない。