コール&レスポンス

アフリカ起源なのかな?
いや、日本でも、合いの手を入れますよね。

アメリカ発のエンターテイメント・・・ミュージカル・ジャズ・ロックetc・・・がお好きな方なら、政治になんてまったく興味がない人でも、ぜひ聴いてみてほしい。演者と聴衆がやり取りしながら、巨大なエネルギーを生み出していく。その偉大な実例。感じるものがあるはずです。

キング牧師のあの演説、壮大なコール&レスポンスですよね。


黒人牧師さんの説教って、ジャズ・ブルース・ソウル・ロックetcの源流です。
ジェームス・ブラウンの「セックス・マシーン」なんか、まさにそういう感じ。一曲丸ごと、コール&レスポンス。
問う-答える-問う-答える-問う-答える。
このタイミングを、音符的に(メトロノーム基準といえばいいのかな?)処理しようとすると、しっくりこない。問い-答え ってとらえると、ばっちりグルーブにはまる。


レッド・ツェッペリンの「ブラック・ドッグ」。はじめて聴いたとき「すんげぇリズム感だな」って想いました。とっても、カッコいい!・・・でも、到底あのとおり弾けないぞ。
ギターが半拍近く、先走っちゃうんですよね。楽譜的には大間違い(^^)。ベースとドラムスの問いへの、アグレッシブな答え。だから、合っちゃう。
どうやらご当人たちも、後年同じようには弾けなかったとか・・・。


ロストリバーデルタのBGM。マラカスと弦楽器とが、リズムがズレちゃったりします。
マラカスは、中の石粒の物理法則にしたがって、固有のリズムを持つ。
弦楽器は弦楽器で、こう弾くのが自然というリズムがあるみたい。
そのズレが・・・かっこいい!
ロス・トレス・レアレスも、カフェ・アマルゴも、ティピコ・オリエンタルも、ロス・トレス・アミーゴスも、似たズレが演奏の中に現れます。


幼いころ、我が家にヨーロッパの白人さんたちが組んだデキシーランド・ジャズバンドのLPがありました。
リズムが・・・とっても綺麗。綺麗過ぎる。メトロノーム的なんですね。それはそれでひとつの味、面白い。


正しいリズムに合わせる。たとえばドリル。一糸乱れず合わせちゃいますね。
ひとりひとり固有のリズムを、コール&レスポンスする。
どちらにも、良さがある。
前者の基準で聴くと、後者はときおり「間違ってる」と聴こえます。
後者の基準で言えば、間違ってるからこそ、素敵(^^)。


では、「正しいリズムに合わせる」スタイルと、「固有にリズムをコール&レスポンスする」スタイルとは、敵対(^^)するものなんでしょうか?


オスマン・トルコの軍隊は強かった。その軍楽隊の奏でる音を聴くだけで、敵が威圧されてしまうほどに。(「トルコ行進曲」って、その音楽をモチーフに作られたんだそうです。)
西欧諸国の軍隊がそれをまねて、ブラスバンドが生まれた。一糸乱れず、音楽にあわせて行進する。
時代は下って、アメリ南北戦争。南軍が負け、その軍楽隊の楽器が放出され。
黒人たちがそれを買って、葬送の行進などに使うようになり。そしてジャズが生まれた。


「正しいリズムに合わせる」典型と、「固有のリズムをコール&レスポンスする」典型が、こんなふうに関係してる。面白いですよね!
こんな歴史的相互関係自体が、壮大なコール&レスポンス。


マラカスの石の動きを基準に、全身がひとつのリズムに染め上げられていく。
それは、コール&レスポンスでもあり、正しいリズムに合わせるでもある。
ドリル競技で、20人のチームがひとつのリズムにあわせ、演技をする。そのチームと観客が、そしてチームとチームが、コール&レスポンスを交わす。


指先・上半身・人・チーム・会場・時代・スタイル。どの範囲でくくるか。交流に注目するか、基準に注目するか。
それ次第で、みえ方は変わってくる。