規範と逸脱

文化史って、表題の観点からみることができますね。
現象を、モデル化し、記号化し、法則を定め、ルールにし、スタイルやジャンルが形成され。
これが「規範」となって、再現可能になったり、模倣可能になったり、広域に伝播したり。
「規範」によって生まれる価値がある。


一方、「規範」による意味づけや、抑圧や、現実との不整合も発生して。
「逸脱」が生まれる。
アクシデントであったり、ミスであったり、天才の仕事であったり。
それは、「間違い」とされたり抵抗を生んだりしつつ、新しい価値を生んでいく。
やがて、モデル化され、記号化され、新しいスタイルやジャンルとして認識され、「規範」となる。


菊地・大谷東大ゼミでも、そのいろんな実例が語られています。


ワールドバザールの時代の「ラグタイム」「ケーキウォーク」という音楽。
今聞くと、とても牧歌的だけれど、

O 「ダンス・ミュージックですよ、これ。しかも、この時期のやんちゃっていうか、悪ーい、不良の音楽です」
K 「これはもう相当悪い(笑)、ワルな音楽ですよね。ブルーノートが入ってるし」
O 「これね、ローマ法王から苦情が来て、注意されたの」
(笑)
O 「ホントホント。風俗が乱れるからって言って、止められたってぐらいに悪いっていう」

2拍・4拍にアクセントがあるなんて、とんでもない「規範逸脱」だったんだそうです。