NHKアーカイブス フジコ・ヘミング

10年ほど前、復帰コンサート直前とコンサートを扱った番組の再放送。
岡本太郎さんは「人生は積み減らせ」と言ったが、
フジコさんは、すべてを捨てず、全部溜めて溜めて溜め込んで、その蓄積を音にしてるのかも。


再放送終了後、芸大奏楽堂での復帰コンサートの録画を放送。
なかでも「ため息」には釘付けになりました。途中、観客の様子が映って。ほとんどのひとが身じろぎせずに、一転を見つめているような、焦点が微妙にぼけているような目をして、じっと聴き入っている。それ以外、ごく数人が目を閉じ、うつむき加減に集中している。この引力。弾き終わって、フジコさんが手を下ろしても、しばし凍りついたかのような静寂。やがて、ぱらぱらと、そしてふわぁっと暖かい拍手。両手で胸を抱くようにしてのお辞儀・・・。
一方、ラ・カンパネラ。激しく引き終えると同時に、フジコさんが手を下ろすのも待たず、わっと沸き立つような熱い拍手。
この聴き入りっぷり、反応、さすが。


その後、現況の紹介。パリ在住、一年の半分は海外ツアー、半分は日本。アルバムはゴールドディスク、コンサートチケットは入手困難。余分なお金は必要ないと、売り上げはユニセフアフガニスタンに寄付、下北沢の家に、今、猫は17匹。
人柄と、生き方が、ぴったり一致してるなぁ・・・。