「自らが目指すものを明確にイメージする力」こそが創造のかなめ

http://b.hatena.ne.jp/BigLove/20050627


まず、ディズニーとフジTVのコラボレーションドラマ「星に願いを」から、個人製作のプラネタリウムメガスター」関連の記事へ。

自分がどんなものを作りたいのか。

物作りの要となるのは、技術の力ではなく、
自らが目指すものを明確にイメージする力なのではないか。

日本科学未来館では、たくさんの最先端研究者のインタビューやメッセージに触れられた。
みな、目指すものが明確。だからこそ、だれもやったことのない仕事へと飛び込んでいく。そこでは、失敗は価値。新技術が生み出され、未踏の領域が開拓される。

未来館は、最先端の科学と技術を多くの人に分かり易く伝えるということをミッションに、「リアリティとの共鳴」のために「見て貰うのはものよりひとです」「分かち合いたいのは心からの共鳴です」「発見して貰うのは出会いです」「開かれた研究の拠点となり、研究者を支援します」などのコンセプトを有しています。

「リアリティとの共鳴」!・・・魂の扉を開く。ありのままの世界を感じる。
すると、目指すものが明確になる。
これ、以下で紹介する岡本太郎さんのあれこれと、とっても響きあう!
Tシャツプロジェクトって、リアリティとの共鳴を起こしたんだなぁ。4つのコンセプト、全部当てはまるぞ・・・。


つぎに、ふと久しぶりに「ほぼ日刊イトイ新聞」を観たくなって、行ってみたら、なんだ、これは! 岡本太郎は生きているというコーナーが。
今出会っているさまざまなことと響きあう言葉が山盛りで、夢中で読み進んだ。
不滅の魂・創造・情熱・陰陽・継承・・・
ブックマークのコメント欄に、印象的な言葉をいくつか抜書きしてます。


岡本太郎さん。
一昨年だったか「自分の心に毒を持て」ISBN:4413090101み、その知性の深さと明快さに驚いた。なんと、20世紀最高の知性の、大きな一画を占めている人だった!
20世紀って、「人間らしさ」を解放する方向性が観えた100年とも言える。
個人の力をどんなふうに発揮すれば、素晴らしいものが創造されるのか。
どう抑圧すれば、おびただしい破壊が生まれるのか。
創造と破壊に、どう向き合えばいいのか。
・・・その答えをさまざまな形で示してくれた芸術家・哲学者・研究者たち。戦前のパリがそのゆりかごのひとつであり、太郎さんはそこに居た。
以後ずっと、世界中に拡がって活躍する同志たちと連携しながら、作品と生き方そのもので、答えを提示し続けた。そういう人だったんだ・・・。


web読み始めていきなり、先ほどのメガスターの記事と響きあう言葉に遭遇!

ピカソのことをみんなが
「あんなすごいデッサン力があるから、
 ああいう絵を描けるんだ」
って、さかんに言ってたときに
「バカなこと言うな、ピカソのあの時代は、
 あれしかやることがなかったから、
 あれをやったんだよ。
 いま、そんなことやる必要は全然ない!」
って言ってた。
もう、思いさえすれば、パッとすぐできるって。
(中略)
彼は、
こういうものを描きたいんだ
こういうものを伝えたいんだ、ってことを
自分がはっきりつかめてれば、
技術は自然にそこについてるもんだ!って言うのよ。

実例として語られてる、信楽での巨大作品づくり。情景が目に浮かぶ。

おたまをみてギョッとするかんじ、
虫をみて気持ち悪いというかんじ、
夕焼けをみて
なにふりかまわずキレイというかんじ。
そこでは、こまかいウソがなくなって、
絶対正直者の自分
になるんですよ。
その瞬間が、
魂と立ち向かってるときじゃないでしょうか。
(中略)
でね、そんな気分になっているときは、
「誰かを傷つけよう」なんて、
思わないんです。
(中略)
金魚にエサをやったり、
植物に水やってるときの自分は、
最高なんですよ。
もう、まっしろの、超無条件。
ふだんは条件ばっかり。
まったく、植物とは
ビジネストーク
なさすぎるよ。
こういうことが、日常に
もっといっぱいあればいいのにね。

損得で語れるようなことは、本質的な価値ではない。
ほんとうに大切なものって、そこにただある。
「美」

こういう「幸せな自由」感覚は、
個人で体験するよりぜんぜん知らない人と
同時に体験できる方が効力倍増だから、

凄い!至言。

「着地点は考えなくてよい」

執着を手放す過程が、とっても如実に描かれている記事!

「すばらしいバカ」の共通点は
やっぱり愛と勇気だと思うんですよ。
(中略)
「社会の価値とか評価とか、
 そんなもの、ないんだ!」
と、そういうことをとことんまで言っているのが
岡本太郎さんであり、ニーチェであるんですよね。


でも、そう言ってはいるものの、
ニーチェもTAROも
エンタテイナーですね。


むちゃむちゃ、エンタテイナーですよ。
ポップです。


(中略)


どんどん誤解されなさい、
誤解で自分を飾りなさい、とまで
言っちゃうんだもの。

なぜ、究極の個人主義者は博愛主義者なのか、
他者の評判ばかり気にする人が、実は破壊的なのか、
ここに秘訣がある!
「すばらしいバカ」は、自分がどう評価されるかよりも、リアリティとの共鳴を、そして、相手をどう喜ばせるかを大切にする。実はとってもヒューマニスト
評判を気にする人は、自分が当座つらい思いをしないことを、固定観念を守ることを、社会にどんな価値を創造するかよりも大切にしている。実はものすごくエゴイスト。


大切なのはきっと、創造し続けること。挑戦し続けること。新たな「素敵」に。

アメリカの自然のとらえ方って
「触るな」なんだけど、
ところが「触るな」でやったものって、
必ず滅んでるんだよ。
衰退してボロボロになるだけ。
でも、手を入れたものって、
手を入れ続けていくから、滅びないんですよね。


岡本太郎先生は、
日本ですね。
自然そのものにみえているものでも、
懸命に手入れしたものなんですね。
春日山に近いですね。

伊賀大介さん
 頼むときはいいんだけど
 受け取るときにね、
 『俺はいかにTAROを思って
  このTシャツをつくったか』
 というのを、ひとりひとりが力説するんですよ。
 それ×100ですからね。
 だいたいみんな、しめ切り守んないし。
 TAROにみせて恥ずかしくないものを、と思うと
 全員、力が入っちゃうんですよ


糸井重里さん
 所有物を外に出して共有するということや、
 なにもかもが食うためのものではないことなど、
 芸術や文化は、やっと
 岡本太郎の言っていた段階に
 入ってきているんじゃないかな


岡本敏子さん
 芸術は食うためのものではない、
 というレベルじゃなくて、太郎さんは
 『食ってやらない!!!』
 と、断固として、本気で思っていたんだから。
 メキシコから壁画をもうすぐ日本に運ぶんだけど、
 お金はないのよ。
 でも、はじめちゃうのよ、とにかく。
 どうやって食っていけばいいのかを
 こちょこちょ考えずに、
 とにかく、やっちゃえばいいのよ。
 いい? 『食ってやらない!!』のよ、みんな!

そして、岡本敏子さんは、このすぐ後、急逝された。
壁画が日本に到着した、その記者会見の席に、敏子さんは居なかった。
不滅の魂。つながっている魂。
岡本太郎」を思い浮かべるだけで、創造されるなにかがある。Tシャツを創った人全員、ご自身の個性と、「岡本太郎」的な魂とが融合して、作品を生み出されたはず。
肉体は不在でも、影響は、波動は、存在し続ける。
そこが体感できていれば、執着を手放せる。
・・・わ、スターウォーズも、そういうお話だった!


メガスターII、日本科学未来館に行った時、満席で観られなかった。
ほぼ日刊イトイ新聞も、こんな面白い展開になってたなんて。どこかでちらりと観ていたなら、Tシャツ展も見られたかも。岡本敏子さんにもお会いしてみたかった・・・。
そして。
エピソード3を父と見ることが出来なかったのと同様、だからこそ「不滅の魂」を体感的に理解できる。今、このタイミングでこれらの記事を読んだからこそ。そして、Tシャツ展や岡本敏子さんに、実地に触れることがもう出来ないからこそ。


舞浜には、岡本太郎さん最晩年の大作が在る。
モノレール建設以来、遠くからの見通しが悪くなってしまったのが、ちと残念だけれど。
物質としてのあの作品に触れることで、「岡本太郎」的な魂のあるエッセンスを呼び起こすことが出来る。
太郎さんの肉体は消えても、影響はこうして残っている。
そしていつか、その作品が消えても、その影響を受けた魂が次代になにかを創造する。