こころの遺伝子 三宅裕司

大先輩・あこがれの伊東四郎さんと組んでのTV番組。緊張しまくり。
伊東さんがひとこと

三宅ちゃん、好きにやっていいんだからね。

ぐっと気が楽になる。


それでもなお、遠慮して伊東さんをはたく。
なにも言わない。
でも、伊東さんの番のとき、三宅さんを思いっきりはたく。すぱーんと、見事なタイミングで、きれいな音で。


意外なことに伊東さんは、台本の台詞を一字一句変えない。でも、間と言い方で、無限のバリエーション。
互いに個性を出し、おもいっきり好きにやってみて、競い合うように磨きあいながら喜劇が生まれる。
歌手より歌がうまいから、喜劇がやれる。
・・・浅草喜劇の伝統。



アドリブ芸の勃興、創り込んだ喜劇の衰退。
伊東さんと三宅さんの番組も、3年で終了。
三宅さんは、トークのうまさを買われ、ラジオパーソナリティやTVの司会をたくさん。やればやるほど、創り込んだ喜劇への思いが募る。
放送の稼ぎを、SET劇団員の給料に。バイトに明け暮れず、稽古に打ち込めるように。
”好きにやっていい”環境や雰囲気づくりにこころを配りながら。



伊東さんからの申し込みで、SETとの共演。
そして、伊東四郎一座の結成。



立ち稽古。
みな、手に台本を持ってやる中、
伊東さんだけ、台本がすべてはいってて、手ぶら。
まいった・・・。


怒らない。指示しない。
”俺は、手ぶらで自由に動いて立ち稽古をするほうがやりやすいんだ。君たちは、君たちの好きにやっていい”という、無言の教え。
とことん好きにやるための、努力。その生き見本を示す。


出会って25年。”好きにやっていいんだからね”の一言がなければ、今の三宅さんはなかったという。
そして伊東さんはVTRで・・・「ここまで喜劇をやってこれたのは、三宅さんと出会ったおかげ」だという。
そのVTRを観たあとの、三宅さんとホスト・西田敏行さんの顔。

”好きにやっていいんだからね”って、今となってはすごく重いことばになりましたね。


伊東さん抜きの熱海五郎一座でも、きちんと喜劇を成立させなきゃいけない。
そうでなきゃ、喜劇を継承したことにならないし、若い世代に伝えていくこともできないですもんね。

ひとからひとへと、体験を通じてこそ、伝えていけるもの。

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