訳詞、そして日本語化

Wickedを観たとき、ロビーで、ジーザス・クライスト=スーパースターのプロモーションビデオを流してました。
確か、劇団四季がミュージカルをやりはじめたばかりの頃、最初に大評判をとった演目だったような。さすがに迫力があるなぁ・・・画面に釘付けになってました(^^;

35年以上前に作られたとは思えないなあ。

観てみたくなりました!


さて、以下、脇道に話を進めます・・・。

ただ日本語のミュージカルを見るたびに、日本語の限界を感じます。特に歌にのせると、笑っちゃいけない箇所で、吹き出したくなるような訳詞になってて・・・。これだけはどうしようもないですね。

ロビーのビデオには、たしか歌が入ってなくって。
ご紹介のページで、日本語版の歌を聴くと・・・うーん、なるほど難しい!


ちょうど先日、赤坂のアンベ・クァトロのマスターから、訳詞の難しさをうかがったところでした。
マスター自身、たくさんのスペイン語歌曲に、訳詞をつけてこられたのですが・・・
たとえば、キエンセラ。”キェンセララケメ・・・”って歌うからこそ、リズムが生まれる。これにいろいろ工夫を凝らして日本語歌詞を載せるんだけど、どうしても日本語では、そういう歯切れの良さが出ないんだそうです。


そう言われてみると、郷ひろみの歌った”あーちーあーちぃち、燃えてるんだろっか”は、実に見事な訳詞なのかも。西条秀樹の”YMCA”なんて、原曲よりも歯切れよくって健康的ですもんね!
音優先なら、こんなふうに全然意味の違う言葉をかぶせることも出来るんだろうけれど、ミュージカルの場合は、演劇として成立するように、意味も盛り込まなきゃいけないわけだから、大変ですよね。


USJで30分版Wickedを観て、ピンと来なくて。
劇団四季で2時間半版Wickedを観て、感動したけど、歌唱にはぐっと来なくて。
USJで改めて30分版Wickedを観たら、歌唱がぐっと心に響いて来た。
・・・USJの日本語英語ちゃんぽん歌唱だと、ストーリーさえ判ってしまえば、歌の勢いが死んでいないし、単語に込められた意味も生きてるってことなのかもなぁ。
って書き進めたところで、こんな記述を見つけました。

四季メソッドという母音をはっきり発音する独特の朗唱法を使用している(母音法)。台詞がはっきり観客の耳に届くよう生み出された発声方法だが、はっきり伝えようとするあまり台詞に感情が無いと、この発声方法を嫌う演劇関係者や観客もいる。

なるほど、台詞ははっきり聞こえたけど、感情が伝わりづらかった・・・とも言えるなぁ。



日本でやる意味、日本人がやる意味。
ディズニー・シーと出会って以来、そんな角度から、ものごとを観る機会が増えてます。
異文化が、ぜぇんぶつながりあっているってことを、体験的に知ることが出来たからなのでしょう。
ギリシャローマ・シルクロードイスラムカソリックケルト・アフリカなどなど、互いに影響しあって、その交流点で面白いもの・新しいスタイルが、生まれてきた。
ならば、今の日本で、僕たちはどんなものを生み出せるんだろう。


劇団四季ジーザス・クライスト初演当時、僕はまだ小学校5年生くらいですから、その評判を、はっきりとは覚えていません。
キリスト教徒ではない日本人だからこそ、生み出せた舞台・・・だったような気がするんです。

日本では劇団四季によって1973年に「ロックオペラ イエス・キリスト=スーパースター」が初演された。この作品は、後に四季が次々と送り出した輸入ミュージカルとは異なり、浅利慶太のオリジナル演出によるもので、曲目以外の演出には原作とは大きく異なるところがある (タイトルが微妙に違うのはそのため)。

どんなふうに、演出が異なっていたんだろう・・・。