写真感材メーカー、それぞれの選択

コニカミノルタ というキーワードでこのページに来訪くださっている方が、12人居られます。実はここに、コニカミノルタ、カメラ事業・フォト事業撤退 への天然さんのコメントに当初書いた返信を、下書きとして保管してたんです(^^;以下、加筆・校正して公開します。

なにを大切にし、なにを選択し、どう決断するかが、会社の本質だといえます。それは、個人もまったくおんなじ。
まったく天然さんのおっしゃるとおり。


では、富士フィルムコニカと、どちらが立派な決断なのか。どちらともいい難い・・・。
以下、あくまでも私見であり、事実誤認もあるでしょうし、まったく違う解釈がいくらでも出来るという前提でお読みください。


富士写真フィルムのコメントはまだ読んでいないのですが、コニカとは置かれている立場がまるっきり違います。
市場がはっきりと縮小していく中、銀塩フィルムを継続していくことが出来るのは、おそらく世界中で1社か2社。富士フィルムコダックは、そこに残れるだけの体力と可能性が、まだあります。アグファ(ヨーロッパ一のフィルム・印画紙メーカーです)やコニカには、もはやそれだけの力が残されていない。
アグファはぎりぎりまで銀塩フィルムにこだわって、ついに倒産しました。倒産してしまっては、ユーザーに多大な迷惑をかけることになってしまいますよね。
コニカミノルタは、ユーザーに迷惑をかけないような配慮が出来る体力が残されているうちに、撤退の決断をした。


コニカミノルタには、写真を愛しカメラを愛する社員さんが沢山居る。製品を観ればよくわかります。でも、自社にはもはや、写真文化を担うだけの体力と立場が無い。ユーザーを大切にするがゆえの苦渋の決断・・・実に立派だと私は想います。


こういう観方もあります。コダック富士フィルムは、もはや写真文化と心中するしか道が無い。
ほかの光学メーカーは、光学技術を写真以外の分野にも活かしています。ニコン半導体製造など、キヤノンコニカミノルタOA機器など、オリンパスは医療機器。
一方、コダック富士フィルムも、写真「市場」で強い地位を占めることに力を注いだ。富士フィルムの場合、グループ企業の関係で、OA機器などに進出できなかったということも一因でしょう。


さて。
人類への貢献という観点から。
ユーザーを大切にするという観点から。
従業員の幸福という観点から。
・・・どの会社の選択が、的確だったと評価されることになるのか。
答えは、10年以内に出るだろうと想います。
願わくば、どの会社も、それぞれに幸せな道を歩んでいますように・・・切に祈っています。(2006/01/23 00:29)


光学メーカーが、どんな歴史をたどってきたか。
オーディオメーカーも。
この返信を書いた後、つらつらと想い起こしてみて、示唆されることが沢山ありそうだなぁと感じました。以下、自分用メモ。


たとえば、ニコンは海軍用の、トプコンは陸軍用の光学機器が主力製品でしたが、終戦で仕事が無くなった。やむなくカメラに進出。ツァイスも光学技術が先にあって、一分野としてカメラも作ってたという感じなのかな?
イカ、キャノン、ミノルタコニカペンタックスなどは、カメラが出発点といえそうかな。そして、それぞれに技術蓄積を活かして、他分野に進出して。
ナカミチカセットデッキで名声をはくし。でも、カセットデッキは市場が消滅、CDチェンジャーに進出。AKAIはブランドだけ他社に売ったんだったかなぁ・・・。
カメラ市場。ドイツが圧倒的な名声を誇った時代、日本メーカーが席巻し、市場が縮小し。
技術の変化。加工精度、材料、計算能力、デジタル化。独自技術。
ブランド。ツァイス、ライカAKAIアルテックランジング、JBL
市場における地位。市場規模。
製品そのものの魅力。
技術を軸に、新市場へ進出することもあれば、市場を軸に、新技術を探求することもある。


なにが独自の強みなのか。
どんな顧客価値を提供できるのか。
時代はどう変わろうとしているのか。
過去の蓄積を棚ざらいし、未来を読み、なにを創造するか決断する。
日々真剣勝負。