特集ワイド:五輪へ導くメントレ 「今、ここ、自分」に集中 ソチ一番乗りの女子アイスホッケー「全員が自信持てた」

毎日新聞 2013年02月26日 東京夕刊

日本勢初のソチ五輪行きを決めたアイスホッケーの女子代表。記者会見などで、飯塚祐司監督(38)やFW大沢ちほ主将(21)=三星ダイトーペリグリン=が口にした「精神(メンタル)面の強化が大きかった」という言葉が印象的だった。開催国枠で出た長野五輪(98年)以来の出場権をもぎ取った、同チームのメンタルトレーニングとは?【宮田哲】

(前略)

 山家さんが「心の中でいいから唱えよう」と呼びかけた言葉がある。

 「今、ここ、自分」。メンタル関連の本に出ていた、禅思想をベースにした言葉だ。

 「試合の勝ち負けを人間はコントロールできません。できないのに、負けたらどうしようという思いにとらわれるのは無意味です。それよりも集中したプレーを試合時間の60分間続けることこそ大事。『今、ここ、自分』に集中することをチームの約束事にしました」

(中略)

 スポーツ界では、柔道全日本女子での体罰が問題化しているが、メントレの視点からみるとどうなるのか。田中さんは「例えば、散漫なプレーをした選手に『集中力の大切さをたたき込む』として体罰を加えても、次回も集中はできません。集中するプロセスが分からない選手には『なぜ集中できないのか』『どうすれば集中できるか』の2点を教えなければいけない。必要なのは言葉で理解させることであり、殴ったり蹴ったりしても、人は真の実力を発揮することはありません」と一刀両断にする。

 岡沢さんは「運動部で苦しい練習をさせる場合、従わなければ体罰を与えることにすれば、練習を強制できる即効性がある。だが、人間は怒られると自信を失い、自ら行動しようとするエネルギーが低下する。体罰は、選手から自主性を奪い、言われなければ動かないロボットのような選手を生む可能性がある」。

 女子アイスホッケーの教訓を多くの競技や組織で生かしてほしい。
http://mainichi.jp/feature/news/20130226dde012050025000c.html

ロンドン五輪での女子柔道の惨敗は、ここに理由があったのだと私は想う。
ひとを脅しつけてコントロールしても、決していい結果は生まれない。
けれど、そういうやり方しか知らないひとたちは、過ちを繰り返し続ける。