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カンブリア宮殿 ユザワヤ 畑中利元さん
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20100208.html
村上龍さんが設定した今日のテーマは、
正直者はバカを観ない。
創業者の畑中さん、とても魅力的なひと。愛嬌があって、ダンディで、ユニークで。
ネクタイとポケットチーフが派手で素敵。たぶん手作り品。背広も上質でカッコいい。
なぜ、屋号を畑中屋じゃなく、ユザワヤにされたんですか?
家内の旧姓なんですよ。そうしとけば、離婚されないと思って。この作戦、当たりましたね!(スタジオ爆笑)
問屋勤務時代。3軒次々倒産。
先輩が不正をする。手形が落ちなくなる。
独立開業するに当たり・・・どうすれば倒産しないか考えた。現金決済(今でも)。でも資金がない。そこで、メーカーから商品を借り、売れたら代金を支払うところからスタート。
なぜ、そこまでメーカーから信頼されたんだろう・・・
問屋時代、たとえば、取引先の在庫を整理してあげては、なにが品切れになってるか、チェックリストを作成してあげてた・・・ライバル問屋の扱い商品まで!
信頼される。やがて「そこの金庫に手形と印鑑入ってるから、書いて持っていってよ」
働いてやるのではない、
働かせていただく。
中学時代、制服のカラーを仕入れて、仲間に売るのが商売の原点。自分も相手も嬉しい。商売って楽しい!
やがて、農家から食べ物を仕入れて売るように。農家も、荷運びを手伝う後輩も、食糧不足下買えるお客さんも、自分も嬉しい。
私の性格と言うのが、
ひとに喜んでもらうのが、
嬉しくて嬉しくてしょうがないんですね。
圧倒的な品揃え。格安な”ユザワヤ芸術学院”。従業員の家族への贈り物を、奥さんと箱詰め。手芸は人間関係を良くしうる。
こういうことが起きる・・・と語られるストーリーが、過去・未来とも、ドラマの一場面のように具体的で、絵が聴いてる側にもはっきり浮かぶ。
ひととひととが織り成す物語を、はっきりイメージして紡ぎ出すちからが、とてもおありになるように思えた。いや、もしかしたら、それに類する素敵な実体験を、たくさん積んでこられたからかも。
既製服が主流になったとき、あえて既製服の取り扱いをやめ、手芸専門店に。
奥さんも従業員も、全員反対。それを懸命に説得して。
みんなが反対したとき、「あ、こりゃうまくいくな!」と思ったね。
既製服では、量販店に資金力で叶わない。でも、手芸専門店ならば、唯一の存在になれるでしょ。
銀座メルサへ頼まれて出店。
創業者の長男曰く
採算とれないんじゃないかという意見が多かったんですが、女性から”いけるんじゃない”という声が、で、いただいたお話にのってみようと。
隣のユニクロで買った服に、手を加えるという相乗効果も発生。
新宿高島屋からも声がかかり、出店。
ユザワヤ芸術学院の生徒だった、若い3人の女性が、新宿店の店頭展示見本を提案・作成。新宿店長曰く「社内でもできるけれど、それでは”ユザワヤらしい”ものになっちゃう。」
収録スタジオには、たくさんのユザワヤで手芸をまなんだひとたちが。
・・・手作りがまたはやると、読んでおられましたか?
いつまでも趣味はなくならないです。人間の創造性は。
お客さんも、メーカーも、従業員も、みな幸せ。
こころからそれを願い、
自分に為せることを、前例や世の流行に流されるのではなく、とことん突き詰め、
暖かく、誠心誠意やる。
そこに、創造性がある。
・・・あ、手芸そのものも、そうだ!
だから、信頼と幸せの輪が拡がる。ユザワヤ独特の温かさは、そこから生まれているんだろう。
ユザワヤの店内で感じる暖かさは、手作りの素材が持つ温もりのせいだけではない。畑中さんが培ってきた「信頼」が充ちているからだ。 客との、従業員との、取引先との、言葉と行動によって紡がれる信頼。収録中に畑中さんは、ていねいに言葉を選んで、話された。 信頼が人を支え、救い、幸福にする。正直者は、決してバカを見ない。
信頼は最強の戦略 村上龍
冒頭、「365日、問屋時代から仕事を休んだことがない」とおっしゃる。「楽しくてしょうがない、休むのがもったいない」・と。
手芸はやるけれど、才能はないとも。
いやいや、畑中さんにとって、商売こそが趣味であり、手芸なんだ・・・と僕は思った。
ユザワヤこそが、畑中さんの手芸作品なんだ、と。