NHK BS2 マイケル・ジャクソン追悼番組2本

ふと気づいて、あわててスイッチを入れる。なんとか開始3分後から観ることが出来た。

BS熱中夜話 追悼マイケル特集

マイケルが亡くなる前に収録され、ダンス・音楽と2週にわたって、亡くなった後に放送された番組を、再構成したもの。
進行役を勤めた皆さんが、番組冒頭で

マイケルの音楽とダンスが、これからまた真価を再評価されるに違いない。そんな気持ちで番組を創ったのに・・・

といったことを、切ない顔でおっしゃって。
深く共感した。


とても見ごたえがあった。古いファン、新しいファン、それぞれのマイケル像。なにに魅力を感じているのか、どんな影響を受けているのか。
なかでも一番印象に残ったのは、弁護士さんのはなし。

弁護士1年目に鬱になってしまって、自殺願望の塊になってたんです。フラッとCD屋に寄って、気が付いたらマイケルのDVDを手に取ってたんですね。家に帰って、最初に見たのが「モータウン25周年」のビリー・ジーンだったんですけど。それを見た瞬間、僕の中の自殺願望は吹っ飛んで!それ以来、もう死ぬということは考えなくなりました。
マイケルに出会っていなかったら、たぶん生きてなかったと思うんで、そういう意味では命の恩人だと思っています。

マイケル・ジャクソン 音楽の軌跡(再放送)

こちらは、7/11にNHK総合で放送された番組。再放送を熱望していただけに、嬉しかった。
BADのショートフィルムのラスト、マイケルの友達は、こう言ってるように聞こえた。

Just the way goes down me.

そして、くるりと背を向け、出口のほうへと歩み去ってゆく。


映画"The Wiz"で、主人公たちの歩むべき方向を示してくれていた、黄色いレンガの道。
それが、ぐちゃぐちゃになってたシーンが、ひとつだけあった。
魔物に襲われ、逃げ惑い、
臆病なライオンが、勇気を発揮して活路を見出し、出口を見つける。
場所は、地下鉄のコンコース。BADの対決シーンと同じ・・・


勇気をもって、道を見出し、歩め。
BADのショートフィルムって、The Wizも下敷きにしてたんだなぁ。



"The Wiz"の冒頭、ドロシーは、おばさんにこう言われる。

125番街よりも南には、足を踏み入れたことも無いでしょ?

そして、”125番街よりも南”の世界へと歩み出で、大成功を収め。
"The Wiz" というミュージカルの公演そのものが、そうだった。黒人文化をベースにした作品を、ブロードウェイで公演し、大成功を収めた。
1978年、マイケルが出演した映画化作品は、興行的には失敗したけれど、そこで、クインシー・ジョーンズと出会い、
オフ・ザ・ウォール、スリラー、BADと、人種の壁を越えた、歴史に残る大ヒットアルバムを次々と生み出す。


その間、約10年。
”125番街よりも南”の世界は変わった。”125番街よりも北”で生まれた文化の魅力に、ノックアウトされた。
でも、
”125番街よりも北”の世界は、貧しいままだった。


寄宿制の学校に通う世界と、高校にも行けない世界。
郊外の別荘地や高級住宅街で休暇を過ごす世界と、都心のグランドセントラル駅まで乗り、さらに地下鉄で家へと向かう世界。
”君の事を誇りに想うよ”という世界と、”Be a man”の世界。


どちらも、ほんとはひとつ。地続き。ひとつながり。
ひとつにするために、歩み出た。
でも、ひとつだと思いたがらないひとたちは、歩み出たひとを、引き裂こうとしてしまう。
それでもなお、歩みを止めなかったひとたちのおかげで、
世界は変わったんだなぁ。