検査の限界
どんな検査にも、測定精度には限界がある。
にもかかわらず、ここまでの日本の”新型インフルエンザ対策”って、簡易検査やPCR検査に、頼りすぎだったのではなかろうか。
まずは簡易検査。
「発症初日には、信頼性ある結果が出ない」とは、この冬、複数の医師から聞いて知っていた。
新型インフルエンザに感染した大阪府茨木市の関西大倉中・高と同府八尾市立小の患者計69人について、国立感染症研究所が分析結果をまとめた。遺伝子検査前の簡易検査での陽性反応は発症翌日が88%だったが、発症当日と3日目はともに57%だった。感染研は「簡易検査で陰性でも新型インフル感染を否定することはできない」としている。
簡易検査で、患者をスクリーニングする・・・というのは、妥当性に欠けるのではなかろうか。
発症2日目に検査をし、
- 治療方針決定の補助資料にする
- 地域の流行状況を把握する
という使われ方を、従来されていたように思う。
そして、PCR検査。
この検査法が登場したときは、「うわぁ、画期的だなぁ!」と驚いた・・・大学での専攻が、遺伝子工学だったもので(^^;
いまや日本では、各保険所で検査できるんだなぁ。
とはいえ当然、検査キットの生産能力には限界があるわけで・・・
「市内の保健所に新型インフルエンザ検査用のPCRキットはほぼ枯渇しており、各保健所では検査不能。市の中央にわずかに検査キットが残るのみ。行政としては今後、各病院において新型インフルエンザは季節性インフルエンザと同等に扱って欲しい。」
(中略)
現場では新型と季節性のインフルエンザの区別は不可能になりました。
全くの私見ですが(検査キットが国から供給され市が方針を変更しないかぎり)今後しばらくはS市からは新型インフルエンザ感染者の報告はないと思われます。
という事態は、当然起きる。
- ウイルスのリスク評価に用いる・・・狭く深く、特定の事例について、感染経路を追跡調査
- 感染拡散状況の、モニタリング調査に用いる・・・広く浅く、全国各地域で定期的に、A型インフルエンザ発症例の中からサンプリング検査
といったあたりが、妥当な使い道なんじゃなかろうか。
もし、次に”新型インフルエンザ”が登場したら。
どんな行動計画が、より望ましいのか、頭の体操として考えてみると・・・
- ウイルスの、リスクの段階別に、行動計画を策定しておく
- 初期は、封じ込め対策と平行して、リスク評価(感染力と病原性の調査)と、国内全域のサーベイランスもしっかりと。
- リスク評価が終わらないうちはシビアな行動計画 → リスクレベル判明後は段階に応じたものに切り替える。
- PCRキットが用意出来次第、定期的に、全国のサンプリング調査を行い、封じ込め漏れや、感染の動向をつかまえる。
で、今回のウイルスについては、いま重要なのは・・・
ワクチンの準備と・・・こちらは、僕に出来ることはなんにも無し(^^;
冬期間の本格的インフルエンザシーズンに向かって、市民個々の予防対策の習慣化が必要。