新型インフルエンザ
もしも、毎冬。
今と同じくらい、日本全体が、感染防止に意を注いでいたら・・・。
”自分は既に保菌者かもしれない”と想っていれば、ほぼ的確な行動をとれる。
”自分は清潔”と思い込んでいるから、過剰反応も、感染リスクを増すような不適切な行動も、おきるんじゃなかろうか。
かつて、注射剤製造を担当し、無菌操作をしていた。
クリーンルームにおいては、自分こそが最大の汚染源。
どんなに健康な人間も、はっきりいって雑菌の巣だ。
手洗いだって、かなり入念に・・・アメリカCDCいわく、ハッピバースデーを2回歌う長さで・・・洗わないと、かえって細菌が浮き上がってきて、手洗いしないよりもむしろ、微生物数が増える。
勤務する事業所では、食堂で、テーブルを挟んで食事をしないようにした。横一列に並んでの食事はちょっぴり味気ないけれど、これはかなり感染抑止効果があるだろう。
ほかには
- 湯のみ、惣菜を、カーテンやケースで隔離
- お盆は伏せて置く
事業所全体では
- 来訪者の健康状態の把握
- 勤務前/食事前のうがい義務付け・自動うがい機増設
- 閉鎖空間でのマスク着用義務付け
- 手に触れる場所を一日数回(箇所により指定)アルコール消毒
といったことをやっている。
また、従来から日常的に
- 手洗いしなければ、仕事も食事も出来ないような建築構造にしてある
- 健康状態は、就業前に確認・記録している
- 殺菌用塩素水が、職場各所に配管で給水
etc.
これだけやってても、”絶対安全”ではない。
マスクは、正しく着用し、正しくはずし、正しく廃棄しないと、かえって感染リスクを増す。洗顔も必須。衣服に付着したウイルスをどう処理するかも大切。そして、そもそも眼球は露出してる。
うがいは、欧米では”効果がない”とされている。のどの粘膜に付着したウイルスは、20分で細胞に感染してしまうからだという。
手洗いも、先ほど述べたとおり。
結局、ひとりひとりが、自分の健康と衛生に留意しなければ、どんな対策も意味が無い。
体力を維持する、体調変化に意を払う、手をしっかりと頻繁に洗う、咳エチケットを守る。当たり前のことを、当たり前にやる。
逆に・・・当たり前のことを、当たり前にやっていれば、特別な対策のほとんどは不要。
京都と東京で感染者が見つかったようだ。
某ニュースステーションで、緊張感を醸し出して発表していた。
なんかね…、変だな、日本。
変ですね、日本。
そうやって、不要な緊張感をあおるから、
感染者を差別するネットの書き込みが公表にまで悪影響を及ぼしている。
なんてことに。
かくして、真の安全からは遠ざかる。
あぁ、馬鹿馬鹿しい。
このインフルエンザは他のものより移りやすく広がりやすいようだが、WHOによればこのH1N1ウイルスは健康な人なら軽症ですむということなのである。世界中で報告された9830件の感染例の中で、死亡例はたったの79件である。これと比べて、CDCによれば昨年アメリカでは「通常の」インフルエンザの合併症で3万6千人もの人が亡くなったのである。
もしも、毎冬。
今と同じくらい、日本全体が、感染防止に意を注いでいたら・・・。
たぶん一万人近く、インフルエンザで亡くなる方が減ることだろう。