天職

加山雄三さん。素敵だなぁ!
毎日新聞夕刊 この人、この時 加山雄三さん−1

 ある時期、随分悩んだ。僕が生まれた理由っていったい何だろう、と。毎朝自問した。好きなことをして好きなモノを食って、好きなように死んでいくだけでは、むなしいじゃないか。


 最近、やっと答えを見つけたんだ。僕が一番うれしいのは誰かを喜ばせた時。いいステージをやって、みんながハッピーになってくれれば、僕もすごくハッピー。僕の絵を見たり、僕の手料理を食べて、誰かが喜んでくれるのが何より幸せなんだ。


 人のために懸命になっている時、僕は結構いい顔をしているし、疲れ知らずになれるんだよ。


 これをかみさんに話したら、「それが天職じゃないの」って笑ってました。僕は言った。「だったらオレは生涯現役だ」と。かみさんは「そう願いたいわね」だってさ。はっはっは。オレが現役でいる限り、メシ食っていけるっていうわけさ。


 人間は希望とともに燃え、あきらめとともに朽ちる、という。だったら燃えている間はいつも青春だ。どうせいつか死ぬなら、最後まであきらめず、誰かのために突っ走っていたい。