別冊山と渓谷 ヤマケイ関西Vol.1,2001 六甲山

ISBN:4635921115

期待通り、さまざまな方面から実に多くの方々に原稿を寄せていただきました。
その中で一番感じたことは、みなさんが一様に六甲山の自然の中で自分が生かされてきた、生かされているという謙虚な思いを抱いていることでした。
(中略)
六甲を愛する人たちの想いの中には、自然は人間様が保護すべき対象であるとか、自然は日常生活と対極にある存在などという意識はまったく感じられないのです。
人間と自然があくまで融け合っている状態、すなわち、これこそが「文化」なのでしょう。
編集雑記 中上晋一さん

以前さらっと読んだ際に印象に残り、今回もはっきり覚えていたのは、RCC創設者の息子さん、藤木高嶺さんのロックガーデンでの思い出話。
中学2年のとき、8月下旬、奥高座の滝に友達とテントを張り、キャンプ生活を楽しみながら宿題を片付けた。
友達は下山したが、藤木さんはキャンプ生活が気に入ってたので、そこから学校に通うことに(^^)
9月なかば。厳格な担任の先生に職員室に呼び出され「君は六甲山のテントから学校に通ってるらしいな」
しまった、ばれたか・・・なぐられると覚悟していたら
「私もそのテントに泊めてくれ」と言われ、びっくり仰天。
週末、先生と肩を並べて山に向かい、先生が用意してくれたすき焼きをつくって食べ、先生の若いころの武勇伝や山の民話に世のふけるのを忘れ。ふだん教室で接する先生と同じ人とは思えず。「親が心配してるから家に帰れ」といつ怒られるかと思っていたが、とうとう一言もふれられず。
翌朝、食事を済ませると、先生はさっさとテントをたたみ始め。そのまま一緒になんとなく下山(^o^)
実はお母さんが心配のあまり、先生の自宅まで相談に出かけたと、後でわかり、親に心配をかけたことを心から反省された・・・とのこと。


役割は役割として、厳格に。
そして、同じ山男として、胸襟を開いて接する。
見識があるからこそのふるまい。
教室で、山で、それぞれなにをなすべきかが、はっきり判っておられる。
表面的な見え方はまったく違うけれど、その根底は、どちらも生徒への想いから来ている。