NHKスペシャル そして日本は焦土となった 都市爆撃の真実

http://www.nhk.or.jp/special/schedule.html#050811
無差別爆撃の歴史。開始10分後から観る。
近年公開された文書をもとにした研究の成果が、資料映像とともに、綺麗にまとめられている。戦後60年の新聞の特集記事で読んだ内容と、おおむね合致してる。
以下、自分のためのメモとして、観ながら書いてます。


ハーグでの取り決めで禁止されていた、民間人対象の空襲。
ドイツがゲルニカで、日本が重慶で始め。
やがてイギリスがドイツの各都市を絨毯爆撃。元イギリス空軍兵士、ナッシュさんの体験談。「上空から照明弾めがけて爆弾を落とすとき、その距離が起こっている現実を感じさせなかった。捕虜となり列車に乗って、何マイルも果てしなく続く瓦礫の街を見て。向かいに座った喪服を着た婦人がパンを差し出してくれて。こんな慈悲深いひとの家族を私は奪ったのか・・・」
イギリスはアメリカにもドイツ絨毯爆撃への参加を求めたが、精密爆撃を貫いた。
一方で、日本に対して、絨毯爆撃派と精密爆撃派の大論争。空軍の現地舞台は、国際ルールを貫くべきと主張。両論併記で攻撃開始。
精密爆撃の大家、ハンセルを空爆リーダーに、第1回攻撃。東京の中島飛行機の工場を狙うが、ジェット気流の影響で失敗!
B29の大量生産、新型焼夷弾の完成(日本の都市に用いた場合、住民の60%を殺傷できるから・・・各都市に何トンずつ落とせば壊滅するかという、シミュレーションの数字が冷徹。)
絨毯爆撃へと突き進む状況に、反論する精密爆撃派の人々の、その精緻で真摯な論に込められた魂の叫び。
司令部の名古屋市外攻撃命令を無視して、精密爆撃を続けるハンセル。しかし失敗・・・。一方、中国成都基地のルメイは、新型焼夷弾を用いた漢口じゅうたん爆撃に成功。ハンセルは解任され、ルメイが後任に。ドイツのドレスデンへの絨毯爆撃にもアメリカは参加。メディアには「今までどおり軍事目標を狙った」と説明することにして・・・。
1945/3/9 日本焦土作戦開始 「6大都市をつぶせば、降伏への動きが起こる」・・・そうはならなかった。徹底抗戦。やがて、めぼしい軍事目標の無い地方都市へも・・・。
ドイツ爆撃の分析結果。「絨毯爆撃にさほど効果は無い」・・・でも、絨毯爆撃に最適化されたシステムは止まらない。そして原子爆弾投下。

ナッシュさんの言葉「赦しとは何でしょうか、過去を忘れることでしょうか、いや、過去と向き合うことにしか、私たちの道は無いのです。」


絨毯爆撃派の冷徹で自己都合型な論理と、それに抵抗した人々の倫理性にあふれた言葉。
爆撃機からの空爆記録映像と、地上の地獄図との落差。
・・・その対比が見事。リアルさは、本質は、後者にある。
そして、ナッシュさんの生きる姿。


エンドロール。はるか下方の都市に向け、放出される爆弾。すぅっと小さくなり、吸い込まれるように消えていく・・・やがて、ぱぱぱぱっと地表一面に閃光が。よく出来たミニチュアのような、でも、紛れも無い現実・・・。